君と君の好きな人 2

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side 羽生結弦

酔っていたとはいえ、大事な時期に猫のことを惑わせることになってしまったことへの後悔は拭いきれなかった。

それと同時に今までなんの疑いもなくなあなあで付き合ってきた葉月には失礼なことをしたという後悔もあった。


口にしてしまった以上、けじめをつけるほかない。

中途半端が一番いけない。


『話がしたい』


もうこの言葉だけで、察しの良い葉月は別れ話だと気づいたかもしれない。


『わかった。全日本の後、時間作るよ。それで、大丈夫？』


葉月は良い女だ。

よくいる女みたいにわがままは言わないし、おだやかで気が利く。

俺にはもったいないくらいの良い女。

猫はわがままとかではないけど自由で、おだやかなんて無縁な人間だし、気なんか利くわけないし。

それが、なんで猫に惚れてんだろ。

自分でも思う。



ごめん。葉月。



謝るしかない。
謝っても仕方がないけど、他に葉月にしてやれることなんて何もない。





『うん。ありがとう』





それに、葉月と別れることと猫が俺のものになることは別物の話だ。


猫は昌磨が好きだ。

でも、不思議と上手く行かなければいいとは思わない。

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