look at me 番外編 (ページ3)

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chocolate 3 ページ3

ーバレンタイン当日ー

結局、例年の如く手作りチョコレートを作った。凝ったことは出来てないけど、我ながら自信作のチョコレートカップケーキ。可愛くラッピングしたし、宇野くんには"夜の練習後にリンクの近くの公園に来て"ってラインした。恥ずかしながらいつもよりおめかししたし。

準備はばっちり。

宇野くんの練習が終わる時間帯はもともと把握していたから、あと宇野くんが来るのを待つだけ。

そういうはずだったんだけど…。

「な…なんでしょー…か？」

気づいたら周りにあまり柄が良いとは言えない強面な学生が集まっていた。

薄暗い公園の中でもわかる、人相の悪さ。
友達がしてたら「趣味悪い」と言ってしまいそうなアクセサリー。
みんな共通しているのは学生服の前が開いていてカラフルなインナーがよく見えていた。

不良に絡まれてる。

そう頭が認識したのはほんの数秒後だった。

「こっちも手荒なことしたくないんだわぁ。だから出してくんない？」

こんな日に限ってタイミング悪すぎる。

「何をですか？」

下品な笑い声が公園に響いた。

「本気で言ってる？そりゃあ決まってんじゃん。サ・イ・フ」

こんな時に限ってなんで財布に一万円なんて入ってたりするんだよなぁ。

「いやぁ、そういうのって…倫理的に…どう…なんですかね？」

ガン！という音に私は肩を震わせた。
どうやら遊具に蹴りを入れたらしい。

「グチグチうるせんだよ」

「ひっ！すいません！すぐ出します！」

私はガサガサと鞄をあさる。
こういうときに限って財布がなかなか出てこない。

「早くしろよ！」

急かされるとさらにわからなくなる。

「相沢！！」

私はその声に動きを止めた。

公園の入り口に目をやると宇野くんが立っていた。

「あ！あ！」

私はさらにパニックになった。
だって、私のせいで宇野くんがこの不良たちに危害でも加えられたら…。
一気に血の気が引いていくのがわかった。

「あ？んだよ？」

不良たちの目線が宇野くんへ集まる。

「宇野くん！！逃げて！！」

私はそんな声を必死で投げ掛けるしかなかった。
私は宇野くんのためなら一万円だろうが何万円だろうが払うのに…。

私は怖くて目頭が熱くなるのを感じた。