Mr.0の隠し事 (ページ2)

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ジメジメと体へまとわりつく不快さが苛立ちを募らせる。

外を見ると窓を打ち付ける大雨。
アラバスタは乾いた砂漠の国だというのにどういうことか。

書類をぐしゃりと握りつぶすと、隣で秘書がクスリと笑う。

「………なんだ。」

「いえ、あなたがイライラしているのなんて珍しいから。」

秘書兼、副社長のミス・オールサンデーは俺の手からサッと握りつぶされた書類を取るとシワを優しく広げる。
そんな彼女を見ていてもなぜか腹ただしく感じるのは本当に雨のせいか。

「それでいつになったら紹介してくれるのかしら？もう1人のメンバーは。」

俺は考える余地もなく、”奴”の胸ぐらを掴んでいた。
そんな俺の様子を見て狼狽えることもなく目を細める。

「いつから知っていた、ニコ・ロビン。」

この名を口にするのは何時ぶりか。
その名で呼ばないで、と釘をさして言われていたが咄嗟に口に出てしまう。

オハラで唯一生き残り、『悪魔の子』と蔑まれ逃亡の日々を送っていたニコ・ロビンと利害の一致で手を組み、この組織を立ち上げたのは何年前の話か。

プルトンの居場所を知るまでは古代文字を読むことができる、この女は消すことができない。
なんなら失うのも惜しい人材だ。
「自分が使える」ということを自分でも分かっていて、敢えて俺を挑発しているのか。

「………いいだろう、紹介しよう。」

埃がうっすらと積もった、しばらく使われていない棚の奥からでんでん虫を掴む。
ぷるるる…と一層苛立ちを覚える声が部屋の中に静かに響く。
そして、がちゃ。と相手と通話が繋がった。

《あっボスですか！？お久しぶりです！》

久しぶりに受話器から聞こえた声は嬉々としていて、気が抜けて思わず溜息をつきたくなるのを我慢する。

「A、今どこだ。すぐ本社へ来れるか。」

《えと、今海軍の船にいて…。すぐに向かいますね！》

あちらも急いでいるようなのか、すぐに電話は切られた。
積もっている埃を指で払いながら、ふ…と口元が緩む。
海軍の船にいるということは今日も律儀に賞金稼ぎか、俺は隣でニコニコしている秘書に念を押しておく。

「こいつのことを誰かに話したら、命はないと思え。」

俺は湿気でうざったらしく張り付いた髪をかき分けた。