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拾壱 ページ11

「たーいまー!」


走って帰宅した私は家のドアを勢いよく開けた。


「おかえり」


ボソッとそういうのはむいくん。


しっかり挨拶出来るところお姉ちゃん大好き。


私は靴を脱ぎ、玄関から上がる。


見事に靴の中までビショビショで靴下から水が滴る。


「うわぁ……」


雨から解放された部屋だからこそ、不快感がスゴい。


「みゃあ」


腕の中の子猫が不安そうに鳴いている。


かわいい……!


靴下を脱ぎ、リビングに行くとむいくんはいた。


こちらに背を向けてリビングのソファに座っていた。


「むいくんただいま。」


「ん。」


「ねぇねぇむいくん。猫拾ったんだけどどーすればいいかな。」


「ん。…………………………は?」


「やっぱり冷えてるからお風呂かな。」


てきとうな相槌にも負けず一人で話していると、困惑している顔でむいくんが振り返り、こっちを見た。


「は?猫?」


「うん。猫。」


「みゃあ」


私が抱き上げて見せると、むいくんは固まった。


「おーい。どーした?」


硬直から解けたのか、動き出したむいくんは思案する顔つきになった。


「姉さんはまず、お風呂入れてあげて。ネットで調べて使っていいシャンプーか確かめてね。」


「えっあっはい。」


「そしたら僕は、餌と寝床と水と容器と……」


なんだか軽い気持ちで買ってきたが、随分と大事になりそうだ。


「ま、まず私はお風呂に入れてあげればいいんだよね?」


私はお風呂場へ急いだ。

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作者名: | 作成日時:2020年1月11日 13時

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