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…
振り返ると、こちらに手招きしている彼と再び目が合った。
綺麗なシルバーの髪色に、目深く被ったフード。
…ゲーム開始前、イヤホンで音楽を聴いていた人だ。
さっきは俯いていたからかよく見えなかったが、随分と端正な顔立ちをしている。
「何か御用ですか」
「そんな畏まらなくても」
面白そうに口角を上げると彼は続けた。
「キミ、スペードの4のゲームをクリアしたんだってね」
「聞いてたんですか」
「まあね、あの距離じゃ自然と耳に入ってくるよ。
…もし良かったら、前回のゲームの話聞かせてくれないかな」
実はこの人も初心者だったりするのかな。
「…ただの障害物競走でしたよ。今回みたいにクリア条件がある訳でもなく、ただ障害を避けてゴールしていくだけ」
できれば思い出したくない。
「キミ、この世界に来てまだ日が浅いでしょ」
「…どうしてそう思ったんですか?」
「んー、出会って間もない相手に警戒心がないからかな」
隣を見れば、感情の読めない黒い瞳と目が合ってドキリとする。
「キミって分かりやすいなあ」
なんてくつくつと隣で笑う彼。
口答えしようとすれば、
始まりの合図としてか突然トランペットのファンファーレが響き渡った。
「…始まっちゃいましたね」
「そうだねえ」
この場にそぐわない彼の間延びした話し方に、本当は命懸けのゲームなんて全部嘘で、やっぱり誰かの趣味の悪いドッキリなんじゃないかと思ってしまう。
…なんて淡い期待は、何処からか聞こえてきた悲鳴と銃声によってかき消されてしまった。
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ユウカ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!チシヤ沼過ぎるしにそう投稿うれしいです!! (2月6日 19時) (レス) @page25 id: d28d804b9b (このIDを非表示/違反報告)
すわろ(プロフ) - ba5m004さん» ありがとうございます😭拙い作品ですが楽しんでお読みいただければ幸いです🥹 (2月6日 19時) (レス) id: 99e4738e40 (このIDを非表示/違反報告)
ba5m004(プロフ) - 今際の国のアリスの夢小説って中々ないので、すごく嬉しいです😊自分は文才ないので💦続き楽しみに待ってます🥰 (1月21日 23時) (レス) id: 7ecd875bc8 (このIDを非表示/違反報告)
すわろ(プロフ) - ユウカさん» ありがとうございます😭チシヤ沼案件すぎますよね😌 (1月6日 12時) (レス) id: 99e4738e40 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - めっちゃ面白いです👍チシヤくんリアコすがる🥺 (1月5日 1時) (レス) id: d28d804b9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すわろ | 作成日時:2023年12月4日 23時