幸せを運ぶ鳥【今際の国のアリス】

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…

そこら辺にあった適当なブティックで着替えを拝借する。
血で染った服を捨て、新しい布に袖を通す。


「この服、意外とお気に入りだったんだけどな」


ため息と共に吐き出される独り言が、
静かな店内に吸収されていく。


あれ、私さっきまで命懸けでゲームしてたっていうのに…
恐怖心やら焦燥感がまるでない。
……現実離れした体験に頭が追いついていないのかな


「あ、」


服を脱いだ時に落ちた1枚のトランプを拾い上げる。
ゲームで勝ち残った際、なんとなく貰ってきたものだ。


あんなふざけたゲーム、
どうして参加させられなきゃいけないの。


トランプを見ながら本日2度目のため息。

でも、


「これからどうしよう。やっぱりひとりは寂しいな」


ビザ切れにはまだ早いけど……
人と会うにはゲームに参加するしかない。


それに、ビザ切れになる前にまた、ゲームに参加しなければいけない日がきてしまう。


「どうせ殺すなら、痛くないように殺して欲しいよね」


どこか他人事のように呟きながら、遠くで淡く明かりを放っている方向に歩きはじめた。

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