幸せを運ぶ鳥【今際の国のアリス】

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…


…暇すぎる。


ベッドの上でゴロゴロするのももう飽きた。

必要な時以外は極力部屋の外に出ないようにしようと思っていたけれど。


テレビもやっていないしスマホもない。
本だって聖書ぐらいしかないし…気分は吉幾三。


かといって1人でプールやバーに行く勇気も気力もない。

何かいい考えは…


あ。



「チシヤの部屋にでも行ってみようかな」

…………
……

…

.

と、思いつきで部屋の前まで来たはいいが。


「急に来たら迷惑かな？というかそもそもいるかどうか分かんないし」


ただノックするだけなのに、
こんなにドキドキして馬鹿みたい。


「いやでも！別に朝早くもないし、ノックして反応無いなら帰ればいいし！」


ふぅ。

一旦呼吸を落ち着けてドアに向き合う。


コンコンコン。

…


うーん…留守かな？中々出てこない。


「な〜んだ居ないじゃん。変に緊張して損…」


ガチャ。


「…した…」


「いらっしゃい。今日は迷わずに来れた？」


諦めて帰ろうと歩いた瞬間、
ドアから覗いた白いパーカー。

さっきの独り言聞かれてたかな…


「暇だから来ちゃった……あれ」


ふとチシヤの後ろを覗くと、ソファに座っているドレッドヘアの女性が見えた。


「…もしかして私、お邪魔しちゃった？」


心臓がズキリと痛む。


チシヤは私より前からビーチにいるし、私の知らない子と一緒に居たってなんら不思議じゃない。

不思議じゃない。のに、無性にここから逃げたくなった。

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