【A3】皆木くんが照れてくれない。 (ページ1)

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波乱な恋愛事情の前にページ1

ことの始まりは、二ヶ月前くらい。

「俺Aさんのこと、幸せにするっす」

彼が私にこの言葉をかけてくれたからだった。

『うん。よろしくお願いします！』

その時の私は、大好きな彼に言われたことがたまらなく嬉しくて満面の笑みでつい答えてしまったことを覚えている。

かくして、私たちは付き合い始めることなったのだが。

「実は、俺…生まれてこのかた恋愛経験というものを一度もしてきたことなかったんすよ」

『え』

まさかのカミングアウトだった。

すいません、と謝る彼についつい声を漏らしてしまう。

いや嘘だろ、君絶対モテるだろう。
その爽やかスマイルで次々と女の子を落としていってそうじゃないか(言い方)

あ、でもまてよ。

つまり今までこのかた恋愛経験をしたことない彼にとって、彼女とデートしたり抱きついたりする経験もすべて初めてのことなのか…？

つまり、私が皆木くんにせ、接吻などという大胆な行動をしてしまったら…！

それはそれは皆木くんはピュアッピュアな反応をしてくれるのではないか！？

いいな…。(仏顔)

『ふふふ…』

「Aさん？」

『あ、ああごめんっついね。つい。』

いかん私。頬のニヤケを抑えなければ。

『で、でもっ恋愛経験なくてもなるようになるよ！だから多分大丈夫！』

「はっ、はあ……。」

戸惑いを隠せていない表情をする皆木くんの肩をバシッと叩く。
うん、痛そう。

まあでもなるようになるはずだ、大丈夫。

あわよくば皆木くんの可愛い反応が見たいぞ！(本心)

この先、波乱な恋愛事情が自分たちに襲いかかるとはお互い知るはずもなく
和やかな笑みを見せ合い、私たちは並んで帰路を歩いていくのだった。