五十五話 ページ10
「トレイ、具合はどう？
なにか食べたいものや飲みたいものはある？」
「そんなに心配しなくても大丈夫だって言ってるだろ？」
「でも、その怪我はボクのせいで……」
「どういうことっすか？」
すっと私から視線を逸らして、リドル先輩の方を見る。
「用事があって、昼休みに3年生の教室へ行ったんだ。その時……」
階段
「ボクは少し遅れるから、マジカルシフトの練習は先に進めてて。」
「わかった。」
「じゃあ、よろしく………っうわっ!?」
「!リドル!危ないっ!」
「階段から落ちかけたボクを庇ったばかりにトレイが怪我を……」
「お前なら飛行術で受け身が取れてたと思うぞ。
俺が勝手にしくじっただけだからもう気にするなって。」
「でも……」
「A、これってさ……」
『…うん、たぶんリドル先輩も…』
「まーまー！リドルくん。そんな暗くなってもしょうがないって。
トレイくんの怪我は残念だったけど、その分リドルくんが超頑張ればいいじゃん」
「あ、ああ。そうだね。」
「ささ、もう怪我人はゆっくり休ませてあげよ。退散、退散〜。」
談話室
「で、ケイト。なにかトレイの前では言いにくい話があるんだろう？」
「さすがリドルくん、話が早いね。
Aちゃんたち、トレイくんの怪我についてなにか知ってるんじゃない？」
す、鋭い。
『実は、学園長に……』
「なるほど、学園長がそんなことを……」
「やっぱりね。グリちゃんたちがタダでお見舞いに来るわけないと思った。」
「実は、ボクもなにか変だと思ってすぐにケイトに情報を集めてもらっていたんだ。」
「そしたら、怪我してるのがリドルくんやトレイくんみたいな、有力選手候補ばっかりってことがわかってさ。」
仕事早っ。
「故意に選手候補を狙った犯行と見ていいと思う。」
「マジフト大会でライバルを減らすために強そうな選手狙って事故らせてるってことっすか？」
「そういうことになるね。」
その後の話し合いにより、犯人を突き止めるため、リドル先輩とケイト先輩も協力してくれることになった。
まず作戦としてリドル先輩が言ったのは、こちらが先手を打つ作戦。
有力選手に目を付けて、事故が起こったら周りを捜索して、犯人を見つけると言う計画だ。
とりあえず何も無い今はその作戦をすることになった。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
