八十九話 ページ45
「レオナさんが実家に帰りたがらないのって、こういうことだったんスね。
それにしても……おじたんって…ッ！アハハ！いでで、笑ったら傷に響く〜。」
「笑うんじゃねぇ！後で覚えてろ…！」
グルルルと唸っている。
「みんな、おじたんのお友だち？」
『おと、おともだち……？？ぶえフッォッ』
「あ、Aが死んだ」
思わず乙女の欠片もない声を出してしまった。
ちょっと脳が情報を処理できなくて、布団に向かって頭突きする。
過呼吸になっている私をよそに、チェカくんはニコニコと「おじたんのお友だち！」と笑っている。
純粋すぎて目が潰れるんだが。
その後、護衛の人が10人ほど入ってきて、チェカくんを連れて行った。護衛の数多。
もう夕方あたり？オンボロ寮帰ろっかな。
いや、先生来るまで待つか。
『…ああ、寝てたのか…』
いつのまにかグリムたちがいない。
どんだけ寝てたんだ？
「…おい、お前」
『レオナお先輩』
「テメェ、今絶対言いかけただろ」
レオナ先輩の言葉は無視しておく。
『チェカくん…あの子が次期国王なんっすね。お兄さんもあんな風に明るい人なんですか？』
「は？」
『えっ』
「はは、笑えねぇ冗談だな。でも、もし本当に忘れてんだったら……お前、相当馬鹿だな」
『唐突な罵倒』
え、何？また忘れちゃってる系？自分、そんなに記憶力ゴミでしたっけ……
「散々言いやがった癖にな。ま、詳しくは言わないでおいてやるよ」
『いや何言いやがったんですか自分。隠すなよ教えな！レオナ先輩！』
「ふぁ〜……眠い。俺は寝る」
『げっ！おい、ちょ、寝るなー！』
『ああ〜…今日は本当に疲れた。ただいま愛しのマイホーム、オンボロ寮……』
グリムもう寝てる。なんか口元に黒い欠片付いてるような…まあいいか。寝よう。
あれからレオナ先輩を起こそうとしたが、保健室の先生が戻ってきて平気なら寮に帰ってもいいと言われて今に至る。
さっさと布団に潜って目を閉じた。
真夜中
鏡が光ってる……？
目を擦りながら、光り輝いている鏡に近付く。
何かの影…何の影？ぼんやりしていてよく見えない。
しばらくすると元に戻った。
何だったんだろうと思うも眠いので再び眠った私だった。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
