八十八話 ページ44
「フン。挑む前から負ける気でいたら勝てるもんも勝てねぇよ。
来年は絶対ディアソムニア寮に勝ってみせる。卑怯な手を使わず、俺の全力を尽くしてな」
来年はレオナ先輩いないと思うけど…大丈夫か？
「卑怯な手だって実力のうちだろ？」
『レオナ先輩は反省しろ！この件で充分懲りたでしょう…』
ジャックを見習え！
「懲りる？どこに懲りる必要が？」
開き直ってきた……
「今年の大会は、俺なりに全力を尽くした。来年もまた、勝つために全力を尽くすだけだ。」
『来年って。まさか留年するおつもりで…』
ただでさえ一年ダブってるのにね。
「来年こそはトーナメント戦に出てやるんだゾ！」
「僕たちも選手枠として出られるように頑張らないとな。」
「確かに。今年みたいに格好悪い目立ち方は、もう勘弁だわ。」
そういえばここ最近はバタバタしてたから、好感度を気にしたことなかったな。
好感度、どっかで確認できたらなー。
「あーーっ！おじたん！やっと見つけた！」
グリムたちと雑談をしてたら、ドアからひょこっと赤毛の子が顔を覗かせた。
獣人族？
「レオナおじたん！」
「あ〜……クソ。うるせぇのが来た。」
『は？お、おじた…』
「レオナ、おじ…たん？」
「この毛玉は兄貴の息子のチェカ。
……………………………………………俺の甥だ。」
「「「お、甥〜〜〜〜〜！？！？」」」
「ってことは、これが王位継承権第一位の……？」
『じ、次期国王…！？』
「おじたんの試合、カッコ良かった！今度帰ってきたら、僕にもマジカルシフト教えて！」
「わかった。わかったから、耳元で大声出すな。
お前、お付きのヤツらはどうした？今頃泡食って探してるぞ。」
「おじたんに早く会いたくてみんな置いて来ちゃった。えへへ。」
「え……っと。レオナ先輩の苦悩の種って……」
『この子のこと…？』
「しかもめちゃくちゃ懐かれてるんだゾ。」
「うるせぇな。……じろじろ見てんじゃねぇ！」
チェカ…くんからしたら、レオナ先輩は叔父さん…だからおじたん？マジかよ。
「ねえねえ、おじたん！来週？その次？あっ、僕のお手紙読んでくれた？」
「あー、何度も言ったろ。ホリデーには帰……痛っ、おい、腹に乗るな！」
本当に死ぬほど懐かれてますやん。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
