八十七話 ページ43
「ったく。なんでもありだな……幽霊相手にまともな試合ができんのか？」
「ま、いーんじゃない？Aなんて、選手なのに魔法が使えないんだぜ。」
「なんだかテレビに出ると思ったら急に緊張してきたな……」
「では、早速会場へ……っと、その前に。みなさん。足元に黒い石のようなものが落ちていませんか？」
「え？黒い石？」
「学園長が落としたんですか？」
「いえ、見つからないなら結構です。さあ、コロシアムへ急ぎましょう。」
凄く会場が沸いていた気がするけど、あんまり覚えていない。
保健室
「あっ、子分！目が覚めたんだゾ？」
いきなりドアップでグリムの顔が見える。
『あれ？試合は？』
「後半試合が始まってすぐ、グリムがぶん投げたディスクが頭に直撃して気絶したの。覚えてない？」
「超ロングシュートをキメてやろうと思ったんだけどな〜。」
『あー、そういや頭痛いかも』
「初心者が無茶な真似するからだ。」
「まあとにかく、目を覚ましてよかった。
全然目を覚まさなかったから打ち所が悪かったんじゃないかと心配してたんだ。」
『ということは、マジフト大会は……』
「とっくに終わったぞ」
「お前が寝てる間に閉会式も終わって、もう会場の撤収作業始まっちゃってるよ。」
『へー。ちなみに優勝寮は？』
「優勝はディアソムニア寮だ。」
急に隣から声が聞こえた。と思ったらレオナ先輩とラギー先輩。
「あーあ。結局、手も足も出なかったッスねぇ。
他の寮のヤツらにもボコボコにされるし今年の大会は散々ッス。」
「レオナ先輩、ラギー先輩！目が覚めたんすか。」
先輩たちも寝てたんだ。
それにしても、保健室にレオナ先輩とラギー先輩以外の寮生がいないってことは、先輩たちが集中的にやられたんだろうな。
「チッ……この俺が、昼寝以外で保健室を使うハメになるなんてな」
『ははは、ご愁傷様』
「ああ？」
唸ってるけど怖くないなあー。
『そりゃ怪我してんだからディアソムニア寮は余裕で勝ったんだろうね』
「ああ……すごかった。Aも見たら驚くはずだ」
「アレに勝てるイメージ湧かないのはわかる…って思ったわ」
『気になるな。ビデオとか撮ってないの？』
「ビデオなんて撮れないくらい、速かったッスからねぇ…」
ないのか。誰なんだ、何とかドラゴンさん。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
