八十四話 ページ40
「今回の大会、サバナクロー寮を失格にせず、出場させてくれませんか？」
『え？』
意味がわからなくて首を傾げる。
「なんですって？つまり…彼らを許すと？」
マジで？
「いいや、許すわけじゃない。」
「サバナクロー寮に欠場されると、気兼ねなく仕返しできないからな。」
「え、ええっ！？」
「仕返しだと！？」
わ、悪い顔しとる。
「学園内で魔法の私闘は禁止されているからね。」
「マジカルシフトなら、れっきとしたスポーツだろ？」
あー……なるほど。
「何があったのか知らないが、サバナクロー寮生の方が俺たちよりボロボロみたいだしな」
「犯人がわかった以上、むしろ俺たちが恨みを晴らすのにマジカルシフト大会は好都合ってこと」
「レオナくん、前に言ってたじゃん？試合中の攻撃は校則違反じゃないって」
『リドル先輩、これを許したんですか…？』
「本来なら首をはねてしまいたいところだけれど……今回だけは、見逃してあげることにしたんだ。
トレイ達がどうしてもと言うからね」
前のリドル先輩だったら、きっと許さなかったんだろうな〜。本当に変わったな。
ま、大丈夫っしょ。校則違反なんて破ってる人滅茶苦茶いるんだから。
「君達の気持ちはわかりました。しかし、この状態でサバナクローが出られるかどうか。
キングスカラーくんなんて、立ってるだけでやっとでしょう？」
レオナ先輩はオーバーブロットしたし、ラギー先輩は砂にさせられそうだったし、砂嵐に巻き込まれて寮生達は負傷したからなー。
多分負けそうな試合だけど、レオナ先輩はどうするんだろう。
レオナ先輩に目を向けると、驚いた表情から段々と挑戦的な笑みに変わっていく。
「ふ…ふ、はははは！なめるなよ、クロウリー。
草食動物を仕留めるなんて、昼寝しながらだって出来るんだよ。」
絶対無理だよな？絶対強がってるよな？
「俺は謝る気は毛頭ないぜ。この俺に謝らせたい奴は力尽くで謝らせてみろ」
「って訳で、学園長。いいですよね？」
レオナ先輩の同意が取れたから、否定する理由ないしな。
「全く、期待した私が馬鹿でした。
いいでしょう。サバナクロー寮の出場を許可します。
学園としても、大会当日にこのような不祥事が生中継されるのは避けたいところですしね。
さあ、観客が待ちわびていますよ。早く準備をしてください」
被害者達はいそいそと寮を出て行く。
レオナ先輩もおぼつかないが立ち上がった。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
