八十一話 ページ37
【__生まれたときからずっと、俺の頭の上には、どけられない岩が置かれていた。】
レオナ先輩の声……？ここはどこだろう…
身体が動かず、視界もはっきりしない。
「はぁ……第一王子のファレナ様はあんなに朗らかでいらっしゃるのに…
何故弟であるレオナ様は、あんなに気難しくていらっしゃるのか…」
「しかも、全てを砂に変える魔法を使うなんて。なんておそろしい……」
「2人ともやめないか！誰かに聞かれたらどうする。」
ああ、そうか。これ、レオナ先輩の実家か。
昔からこんな風に、比べられていたんだ。
【_もし、俺が第一王子だったらきっとこう言われただろう。
「第一王子のレオナ様は思慮深く、強力な魔法を使いこなす魔法士だ。能天気な弟とは大違い」と。
それが、第二王子なっただけでコレだ。
第二王子はやることなすことにケチをつけられ第一王子を称えるためのダシにされる。
どうやったって、一番にはなれない。】
「レオナ！何故今日の式典に来なかった？」
レオナ先輩の、兄？
「式典？あァ、兄貴の息子を国民に見せびらかす親馬鹿パーティーのことか？
それは失礼を。つい二度寝しちまった。」
「国民に未来の王の顔見せをする大切な日だぞ。」
「確かにめでたい日だな。嫌われ者の第二王子の王位継承権が永遠に消えた記念日だ。」
「そんな言い方はよせ！」
「生まれた順番が早いやつは得だよなァ。
毎日歌を歌いながらゴロゴロ昼寝してたって王になれる。」
「レオナ……たとえ王になれなくても、お前は賢い。この国のために出来ることがたくさんあるはずだ。」
「この国が頭の出来で王を決めるしきたりなら、やる気も出したんだがな。」
「レオナ！待つんだ、レオナ！」
出来ないことは出来ないからやる前に諦める。
でも、レオナ先輩ならきっと、もっと他のとこで……
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
