七十一話 ページ27
「でも、確実に先輩たちは何かどでかいことをする。
ディアソムニア寮寮長、マレウス・ドラコニア。
たぶん、ソイツが本命だ。去年、優勝常連だったサバナクローは、ヤツのせいで無得点のまま初戦敗退。
先輩たちはそれに恨みを持ってる。」
「無得点で初戦敗退……優勝常連寮としては、さぞ悔しかっただろうな。」
「ああ。世界中が注目する中、大恥をかかされたわけだ。
先輩たちはその雪辱を果たそうとしている。しかも、卑怯なやり方で。」
「大会当日、ディアソムニア寮になにか仕掛けるつもりってことね。」
「話は聞かせてもらったよ。」
いつの間にか隣にリドル先輩が立っていた。ケイト先輩もいる。
「伝統ある大切な行事を私怨で汚そうだなんて、許せないな。」
そこかよ。まあでもそうか。
「どうする？リドルくん。」
「今までのラギーの犯行も、証拠がない以上断罪することはできない。
狡賢いレオナ先輩たちのことだ。今告発してもうまくかわすだろう。」
「つまり犯行現場を押さえるっきゃない、ってことっすか？」
「ボクに少し考えがある。まずは……」
リドル先輩が話し出そうとすると、ジャックが口を挟む。
「待て。知ってる情報を話しはしたが俺はお前らとツルむつもりはねぇ。」
ここまできて何言ってんだ……
「え〜。ここにきてそれ言う〜？」
「自分の寮の落とし前は自分でつける。じゃあな。」
『いやいや、どでかいことをしようとしてるって言ったのはジャックじゃん。
そんなどでかいこと、君ひとりで止められるとでも思ってる？自惚れてんじゃねぇの？』
「……あ？」
やっべ、言いすぎちった。
「ひ、久々に出たんだゾ……Aのグサッと鋭い言葉……」
「確かに1人対寮全員じゃ、勝算が低いよな。」
『だから力を合わせようよ！人数が多い方が勝算は上がるだろ(たぶん)』
「……………いいだろう。話くらいは聞いてやる。
だが。もし気にくわねぇ作戦だったら、俺は抜けるぜ。」
「コイツ、マジ面倒くさ……」
「頑固さではエースちゃんたちもどっこいだけどね〜」
「じゃあ、さっきの話の続きをするよ。まず………」
再び口を開いたリドル先輩に、今度は全員真面目に聞き入った。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
