七十話 ページ26
「俺が特に気に入らねえのは寮長、レオナ・キングスカラーだ！」
急に耳をピンと逆立てたと思うと、低く唸りながら声を絞り出すジャック。
まあ、サバナクロー寮生ほとんどがグルなら寮長も加担してるわな。
「アイツはすごい実力があるはずなのに、ちっとも本気を出しやしねぇ。」
「確かに、アイツダラダラしてるのにめちゃくちゃ強かったんだゾ。」
「だろ！？せっかく持っている力を何故磨かない！？俺はそういうヤツが一番嫌いだ。
3年前、レオナ先輩が大会で見せたプレイは本当に凄かった。
だから、俺はこの学園に入れて……サバナクロー寮に入って、あの人と
『勝てないって分かってるのに、全力を出すのはかっこ悪いって思ったから？』
「でも、あの人が本気を出せば、ディアソムニアにも張り合うだけの力は持ってる！
なのに、イカサマで勝とうなんて考えを……」
…ちょっと思ったんだけど、ジャック、お前滅茶苦茶尊敬してるよな？レオナ先輩のこと。
「あのさー……A。
コイツ、さっきからずっと自分トコの寮長に文句言ってるようでいて……」
やっぱりエースも気付いたか。
『……実は、滅茶苦茶尊敬してるんじゃない?』
肯定だというように小さく頷く。
「今までの事件は、奴らにとって行きがけの駄賃みたいなものだ。奴らはもっと大きなことを目論んでる。」
『そういえば、去年はディアソムニアの…ドラゴンみたいな名前の人が一番活躍してたって聞いたけど、その人は別に怪我してないんだよね？』
「ドラコニア先輩に怪我させるなんて、命が惜しいならやめた方がいいな」
「ディアソムニアは優秀な選手が多い。ちょっとやそっとじゃラギー先輩の魔法は効かないだろ。」
『そういうものか…』
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
