六十二話 ページ18
「………ん？そこにいるのは誰だ？」
『角！？不法侵入ッ……い、いや、制服着てた』
身長高っ。そして、ここにきて新攻略対象。
「これは驚いた。お前、人の子か。」
人の子ってなんすか。人間か？でもそれなら驚く理由がわからないな。
黄緑と黒の腕章をしている。ええっと、ディアソムニア寮か。
「お前、ここに住んでいるのか？この館はもう長いこと廃墟だったはず。
独りで静かに過ごせる僕だけの場所として気に入っていたのだがな。」
『入学式に貴方のような角がある人いたら気付くと思うんですけど…入学式、いました？』
「……僕は入学式には出席していない。招待されなかったからな。」
こ、心なしか顔が曇っている……？
完全に地雷踏みましたすみません。
話を変えようと、「私はAって言うんですけど、あなたは？」と逸らす。
「A…珍しい響きの名だ。僕は……いや。やめておこう。聞かない方がお前のためだ。
知ってしまえば、肌に霜が降りる心地がするだろう。
世間知らずに免じて、好きな名前で呼ぶことを許す。」
あ、好感度上昇。
『そんな、肌に霜が降りるとか大袈裟な…名前って素敵なものだと思うよ』
「ああ、リリアからも遥か昔そんなことを言われた気がする。
だが、本当にお前は知りたいのか？きっと、今に聞かなければよかったと後悔するだろう。」
『そうか。そこまで言うなら深追いはしません』
ジャックとかは1年であんなに身長高いけど、この人は1年とか2年とかって気が全くしないんだよな。
3年だろ。じゃあ丁寧語……ま、この人は自分の学年は名乗ってないから、タメでも許されるか。
「ふぅ……それにしても……
人が住み着いてしまったということはもうこの廃墟は廃墟ではない。残念だ。」
『なんかごめん』
「人の子が謝ることはない。また別の廃墟を探す。では、僕はこれで。」
角の人は一瞬で消えた。
魔法使えばワープとかできるんだ…やっぱり…
小学生の頃は魔法に凄い憧れてたなぁ。
『ふあぁ…』
そうだ、今真夜中だった。
眠い……さっさと眠らなければ。明日も学校だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
