六十話 ページ16
「レオナさん、ラギーさん、やっちまいましょうよ！」
レオナ…先輩はギャーギャー言う寮生を「ワンワン騒ぐな、馬鹿ども」で黙らせた。
エッ、実は優しい……？
と、思った私が馬鹿で阿呆だった。
「でも見逃すんですか、レオナさん！」
「誰も見逃すとは言ってねぇ。ここは穏便に、マジフトで可愛がってやろうぜ。
試合中での魔法の使用は校則違反にならねぇからな。」
「マジフトで？」
「シシシッ！レオナさんってば意地悪ッスねぇ。こんな弱そうな奴ら、ワンゲームと持たないッスよ。」
「ムムムッ！そこまで言われちゃ引き下がれねぇんだゾ！」
「断って帰れる雰囲気じゃなさそうだな。」
『試合中の暴力行為ってアリ？』
手首や足首を回しながら聞く。
「ナシに決まってんじゃん」
えっ。
「Aちゃんは後ろでオレたちに指示してね。…だから今すぐストレッチやめて？」
『す、すいません…』
本気で試合に参加する気だとわかったのだろう。ケイト先輩が止めてきた。
数十分後
「ひぃ、はぁ…」
「はあ、はあ……うっそだろ……一点も入れらんねー…」
「なんて隙のないフォーメーションだ…」
「流石レオナくん、昔から天才司令塔って呼ばれてただけあるね…
…ちょっとこのメンツじゃ太刀打ちできねーわ……っ。」
「おら、どうしたァ？もう終わりか？おら、立てよ草食動物ども。もうワンゲームと行こうぜ。」
「シシシッ！さっきの威勢の良さはどうしたんスか？」
『チッ…1人じゃコイツら全員潰せねぇし…おい、ちょっとは手加減しろよ！』
指差して放送禁止レベルの暴言を吐こうとしたとき、視界に白い耳が入ってきた。
「なにしてんすか、あんたら。」
視界を埋め尽くすほどの巨体……ジャックか？
「ん？縄張りに踏み込んだ奴らとちょっと遊んでやってるだけだろ。」
「初心者いたぶって何が楽しいんすか。」
「なーにぃ？ジャックくん。正義のヒーローみたいでカッコいいッスねぇ。シシシッ！」
も、もしかしなくても助けに来てくれた……？
ジャ、ジャック…お前、いい奴だな…！
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
