五十八話 ページ14
メインストリート
『はぁはぁはぁ……死ぬかと思った……』
逃げるときもあの人たち魔法撃ってきて当たるんじゃ無いかと気が気でなかった。
尻尾を引っ張られすぎたグリムが怒っている。
ごめんって。不可抗力だって。
お詫びにツナ缶買うって言ったら一瞬で手のひら返ししてきた。ちょろ。
「じゃあ、本日最後のけーくんチェック。サバナクローのジャック・ハウルくん。1年生。
運動神経抜群で、ありとあらゆる運動部からスカウトが殺到してるって噂。」
ほう。
「この時間なら、もう寮に戻ってるかもしれないな。」
「ああ、もう5時か。
ハートの女王の法律・第346条『午後5時以降は庭でクロッケーをしてはならない』
ボクは一旦寮に戻るよ。目を離すとルール違反をするヤツがいるからね。
A、くれぐれも気をつけて。」
『？はい』
サバナクロー寮
「おぉ〜。ここがサバナクロー寮か。」
すげー。三日月出てる。
寮はゴツゴツした大きな岩で出来てるのか。
「で、ジャックってヤツはどこにいるんだゾ？」
「あそこで走ってるヤツじゃね？」
「あのガタイ、顔……ホントだ、ジャック・ハウルくんだね。」
あ、あの人だ。口は悪いけど根は優しい不良みたいな人だ。
「オイ、そこのツンツン頭！」
「……あ？」
「オマエが悪い奴に狙われてるかもしれねぇから、俺様たちが守ってやるんだゾ！どうだ、嬉しいだろ！」
『馬鹿お前、ツナ缶マイナス』
「ふなっ」
「ちょっとグリちゃん、話しかけ方に問題アリすぎ！」
「なんだ？てめーは。走り込みの邪魔すんじゃねぇよ。」
『グリムちょっとお前黙っとけ』
「ふがふが！」
口だけ塞ぐ。
「やー、ゴメンゴメン。ちょっとオレたちの話聞いてもらっていーかなー？」
「いきなりなんなんだ、てめーら。この俺を守る、だと？」
「実は最近学園内でマジカルシフト大会の選手候補が怪我をさせられる事件が多発しているんだ。」
「で、オレたちはその犯人を探してるんだけど。」
「それと俺になんの関係が？」
「単刀直入に言うと、次に狙われそうな選手候補をマークして犯人が現れるのを待とうって作戦。どお？ちょっとオレたちに協力してくんない？」
「…………断る。俺は1人でなんとか出来るしお前らに守って貰う必要はねぇ。」
『起きてからじゃ遅いんだよ』
「あ？いらねぇって言ってんだろ。」
すみません。好感度減少しましたね。
憤りながら走っていくデカい背中に心の中で謝った。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年9月7日 7時
