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「よーい…スタート!」
男子の方が距離は長いが、女子は時間のかかる人が多いため、先にスタートした。
…よし、最初はこのくらいのペースでいこう。
あんまり飛ばしすぎると最後バテて走れなくなるからね。
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しばらく走り、だんだんキツくなってきた。
「はぁ…っ、はぁ…」
身体は熱いけど、空気は冷たい。
喉と足が痛い。
大分 前に、男子の集団は私を追い抜いて行ったが、その中に蛍はいなかった。
だんだんと足取りは重くなる。
「…っあ!」
足をきちんと上げていなかったせいで、こけてしまった。
「いったぁ…」
膝に血がにじむ。
ついでに足首も若干捻ったみたいだ。
なんとか立ち上がり、ひょこひょこと歩く。
もう走るなんて無理…。痛い…。
「…う、早く、終われ…っ」
知らず知らずのうちに目に涙がたまる。
走っていないせいで、だんだんと身体も冷え始めている。
「さっむ…」
風が私を容赦なく襲う。
鳥肌が止まらない。寒い……。
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「A」
「蛍…」
全く息の上がっていない蛍が、後ろから声をかけてきた。
「なに、こけたの?」
「…うん」
「ホント、Aには鈍臭さだけは敵わないよ」
「うるさい」
「あと 足首 捻ってるでしょ」
しゃがんで足首を触る 蛍。
「…いたい」
やっぱりね、と呆れ顔。
「なんで、分かるの」
蛍はしばらく考えて、答えた。
「…運動部だから」
ほら、とジャージを渡される。
「蛍が冷える。試合あるんでしょ」
「いいから、今はAが着て」
半ば無理やり着せられた蛍のジャージ。
「…やっぱり大きい」
ダボダボで、ズボンまで隠れそうなくらいだ。
「…でも、あったかい」
今まで蛍が着てたから?
いや、多分それだけじゃない。
優しい暖かさを感じる。
「…どうせ歩けないでしょ、おぶってあげる」
「は…?い、いや、それはちょっと…」
「じゃあ歩けるの?」
「…無理」
突然しゃがんだと思ったら何を言い出すんだ。
でも、ここから長い道のりを歩いて行くのはちょっときつい。
「…なんか、蛍 彼氏みたい」
少し からかってみた。
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「別に、なってあげてもいいよ」
お互いの耳が赤いのは、
きっと冷たい風のせい ____ 。
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じゃこたま(プロフ) - うぅ…0時ぴったりにあげようと思ってたのに…うぅ…(;_;) (2019年9月27日 23時) (レス) id: 4772484cf8 (このIDを非表示/違反報告)
じゃこたま(プロフ) - まこさん» わああありがとうございます!自分の好きなように書いてて、こういうお言葉を頂けるのはとても嬉しいです…!! (2019年9月23日 20時) (レス) id: 4772484cf8 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく可愛いお話ばかりでキュンキュンさせていただきました。素敵な作品に出会いました。ありがとうございます! (2019年9月17日 13時) (レス) id: 8ab948ac9c (このIDを非表示/違反報告)
じゃこたま(プロフ) - めぐみるくさん» ありがとうございます!更新怠らないように頑張ります! (2019年8月30日 0時) (レス) id: 4772484cf8 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみるく(プロフ) - うわぁああああああありがとうございます!!!!神ですもう流石すぎます!!!!これからも応援してます!!!!!頑張ってください!!!!!! (2019年8月29日 22時) (レス) id: b734a4fc0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じゃこたま | 作成日時:2019年2月7日 5時