こっち向いて、月島くん。【短編集】

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「ウォータースライダー乗ろうぜ！」


「うわぁあ…！流れるプールだ！」




とみんながはしゃいでいるなか、私はというと








「清水先輩、谷地ちゃん、写真撮りましょう…


それぞれソロで」








田中くんと西谷くん(最近 やっと名前を知った)と一緒に



女子マネの水着姿を拝んでいた。







あぁ、目の保養…。



いつも男に囲まれているから余計に…眼福…。







「ちょっとAちゃん、なにやってんの！」








急に腕をひかれ、目線をあげると




「流れるプール行くよ〜！」




私がカナヅチなのを知っている及川さんが




ピンクの大きな浮き輪を持っていた。







「えっ、ちょっ…！」







人が多くていつ溺れるかもわからないところに



一発目から入れられ



私はすぐ疲れ切ってしまった。






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みんながプールで遊んでいる中、私は日影に座っていた。




流れるプールで疲れすぎて軽く熱中症になった。







「大丈夫ですか」






物静かで、眼鏡の似合った男の子が



近くに すとん、と腰を下ろした。






「あ、だ、大丈夫…です」




「僕 あなたより年下ですよ」




「え？！」







烏野の1年生で、月島くんと言うらしい。







「…あれ、月島くんは入んないの？」





髪も少し水がとんだ程度にしか濡れていない。





「あんなことしたら疲れますよ」




あなたみたいに倒れたくないので、と

少し嫌味っぽく言われた。






「え、あれ私のせいじゃなくない？」






水のせいで張り付くUVカットカーディガンが


身体から離れてはくっつきを繰り返す。






「…及川さんの彼女さんですか」






月島くんは目線を外し、そう聞いた。




唐突な質問に、むせてしまう。



せっかくスポドリ飲んで落ち着いてたのに…。





「そ、そんなわけないでしょ？！


私なんかがあの及川さんと付き合ってたら


今頃 全校の女子生徒からいじめ受けてるよ」





「……」




少しの沈黙。




「そう、ですか」



「何よその間は」



「別になんでもないです。ただ…」









今まで合うことのなかった視線が合う。









「僕にも、チャンスはあるってことですよね」









涼しい日影にも関わらず





私の頬は熱かった。







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月島蛍の思わせぶり発言良くない？！ by じゃこたま

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