ぶりっ子 91 ページ4
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「ちょっと待ってくれないか!!!」
無駄にキメ顔で善逸くんがそう言ったのは日も沈んだ暗闇の中で、もう那田蜘蛛山が目で確認出来るほど近くまで来た時だった。
「善逸……どうしたんだ??」と炭治郎が戸惑ったように(かわいい)聞く。
「怖いんだ!目的地が近づいてきてとても怖い!!帰ろ!!?ねえもう帰ろうよ!!」
「何座ってんだこいつ……気持ち悪いな」
『いのちゃん…、そんなこと言ってやるなよ(それな)』
「Aちゃんそれほんとに思ってる???(困惑)」
真顔でこちらを見つめてきた善逸くんからスっと目を逸らし、那田蜘蛛山に目を向ける。
私は彼らのように五感が鋭い訳では無いが、確かにおどろおどろしい雰囲気は感じとれる。
1歩入っただけでお陀仏のような気がする。何なら、私の全神経が帰れと叫んでいる気もする。これが生存本能ってやつだろうか。
半ば現実逃避に陥っていると、行くぞと言わんばかりに伊之助に羽織を引っ張られた。覚悟も決めたつもりだ。………………行かなくちゃな。(行きたくねえ)
重い足を動かそうとすると、信じられない勢いで立ち上がった善逸くんが、私の反対側の羽織を掴んだ。
「えっ、え!!?嘘でしょ行くの!?!?山だよ!!Aちゃんの嫌いな虫がいっぱいいるんだよ!!!考え直して!!置いてかないでくれよォーーーッ!」
「善逸!!大丈夫だ、お前は強い!!お前なら大丈夫だから、」
「どうせ一緒に
「ダァーーーーーッ!!!!ゴチャゴチャうるっせえんだよ!!とっとと行って鬼を狩る!!それで終わりだろうが!!」
「その勇気が出ないんだよ分かれよ!!!!!(泣)」
『羽織…………のびる……ヒィン、(泣)』
こんな口喧嘩の最中も羽織は引っ張られておりまして。この前の任務で破けたりほつれたりしてたから仕立て直ししたのに……!!!
しばらくそうして言い合いを続けていると、二人を仲裁していた炭治郎が顔色を変えて後ろを向いた。
その先には、那田蜘蛛山があるだけだが。
伊之助も気づいたらしく、走り出した炭治郎を追いかけ出す。それに私もついて行くと、善逸くんは泣きながら着いてきた。
「__ひっ、人だ! 人が倒れてる!!!」
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くまもん - 最高です。ドタイプな作品です。更新お願いします! (2月29日 15時) (レス) @page27 id: 888b8ee33d (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 更新待ってますね!ゆっくりでいいので! (1月7日 18時) (レス) @page27 id: 4e402dc10b (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 続きが気になります!更新待ってます!! (7月21日 22時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
るる - 天才過ぎませんか????更新待ってます!!!!! (7月15日 23時) (レス) @page27 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
阿部葵(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新待ってます! (7月12日 10時) (レス) @page27 id: c05e48fdcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々 | 作成日時:2020年11月15日 22時