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ぶりっ子 102 ページ15




涙を流す炭治郎に、禰豆子ちゃん諸共ホールドされた私。背中に回された彼の手は弱々しくて、心配かけたなあ、と改めて思った。

地面を踏みしめる音がして、首だけを動かしてそちらを見ると累の体がこちらへ向かってきていた。

何かを探し求めるようにこちらに伸ばされた手。それを掴もうとしたのに、触れることは叶わず、伸ばした手は空を切る。


累は嫌がるかもしれないけど、彼と私は似た者同士だと思う。


彼も私も、本当の愛情や家族の絆を求めていたこと。
近くにある絆に気付かないで、自分自身の行動で切ってしまったこと。

悲しくて辛くて、虚しくて。
どれだけもがいても欲しても、誰も私の事なんて見てくれなくて。愛情を求めて他人にすがればすがるほど、みんな離れていく。

あの頃の孤独は、虚しさは、辛いなんてものじゃなかった。私が悪いのは全部分かってるんだけどね。



__前世の記憶が戻っても、心の奥底にこびり付いた負の感情は取り除けないのかもしれない。だって[前の私]も、記憶がなかっただけで私そのものだから。


累の体が完全に崩れさると、その場に彼が着ていた着物だけが残った。炭治郎が衿に手を添えているのを見てから裾を握り、そして願う。__来世こそは幸せになってね、と。


願った瞬間、誰かが着物を踏んだ。…え、踏んだ?


『えっっっ』

「……?、……………人を食った鬼に情けをかけるな」

『(迷った末に無視をするな)』


驚きすぎて思わず声が出た。
冨岡さんに私だと気付かれたかと冷や汗をかいたが、多分…バレてない。(多分)

でもまさか着物踏むと思わないじゃん。

それだけの事っていうかそれ以上の事をしたのは累だけど、彼は地獄で罪を償うはずだ。こんな考えは甘いと思われるかもしれないけど、早くそこからどいて欲しい。

炭治郎が反論してるのを聴きながら、この裾引っ張ったら強制的に退けられるかなと考える。でも目立ちたくないんだよなあ。冨岡さんに私だって気付かれたくない。だって気まずいし。(本音)


叫ぶ炭治郎の腕の中で身動ぎをすると、頭に着けている赤い蝶の髪飾りが地面に落ちた。それを慌てて拾い上げると、上から息を飲むような音が聞こえる。

思ったそばからこれだよ!!!!!(血涙)


「お前たちは__、」


冨岡さんが口を開いた、__刹那。

藤の花の香りが強くなり、突風が吹く。
懐かしい香り。_出来ればまだ、会いたくなかったな。



「どうして邪魔するんですか?」



ふわり、毒々しげに蝶が笑った。

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- 面白すぎマス!続きを正座待機 (5月13日 0時) (レス) @page28 id: 0a611a2a4e (このIDを非表示/違反報告)
紅奈虹夢@虹茶(プロフ) - 無理しないで頑張っていただければ幸いです (5月3日 22時) (レス) id: 763d4d21f9 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (4月29日 20時) (レス) @page27 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
くまもん - 最高です。ドタイプな作品です。更新お願いします! (2月29日 15時) (レス) @page27 id: 888b8ee33d (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 更新待ってますね!ゆっくりでいいので! (1月7日 18時) (レス) @page27 id: 4e402dc10b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菜々 | 作成日時:2020年11月15日 22時

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