検索窓
今日:98 hit、昨日:2 hit、合計:993,450 hit

ぶりっ子 番外編 9 ページ21




まるで、私の心を読んだかのように笑う目の前の鬼はその形の良い唇を開いた。


「覚えてますよ!忘れるはずがありません。……私、恨んだ人間のことはずっと覚えてるんです。いつか復讐するために」

『……残念だけど、カナエ姉さんはもう死んでしまってるわよ?復讐なんて出来ないんだから覚えてる意味ないじゃない』


それなのに、なんでカナエ姉さんのことを覚えていようとするの?

そう問おうとする前に、鬼が「ふふっ、」と狂気的な笑みを浮かべた。


「私、見たんです。口から血を出して今にも死にそうなあの女を、泣きながら抱いていた一人の少女のこと。一目見てピンときました。あの女の妹だって!」

「妹が死ねば、あの女はあの世で苦しむでしょう?
……まあ、あの世なんて無いかもしれませんけどね」

『……最低』


私の言葉にうふふ、と無邪気に笑う鬼がとても恐ろしく見えた。

……多分、この鬼はいずれしのぶさんの事を殺そうと思っている。
だってあの日、しのぶさんはカナエ姉さんの近くで任務があったはずだから。


___ふと、鬼の手がこちらに伸ばされた。

よけようと試みるが周りに髪の毛が貼られているため、思うように避けられない。


「……ああ、そういえば。あなたも同じ髪飾りをつけているんですね?あの女と同じ形の、蝶の髪飾り。あなたもあの女の血縁でしょうか_、あなたが死ねばあの女はどんな顔をしたのでしょう?ふふっ

…さあ、もう時間はありませんのでお喋りはここまでです。少し眠ってもらいましょうか」


トン、と私の腕に触れた鬼。
すると、ぐらりと身体が傾いて意識が暗闇に沈んでいく感覚に襲われた。

___遠くで、甘露寺蜜璃の声が聞こえた。








* 前作の一番最初に続く

✿✿✿


大正コソコソ噂話

周りにはってある髪の毛は、百瀬の血鬼術ではなくて自身で作った道具らしいよ。

ぶりっ子 59→←ぶりっ子 番外編 8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1290 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3671人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

菜々(プロフ) - ろくろさん» コメントありがとうございます!!一時期放置気味になってしまって申し訳ないです…。更新亀ですが、暖かく見守っていただけると嬉しいです!! (2020年11月1日 17時) (レス) id: 01635a8a59 (このIDを非表示/違反報告)
ろくろ - 久々に見に来たら、沢山お話が追加されててすごく嬉しかったです!!!これからも楽しみにしてます!!! (2020年11月1日 17時) (レス) id: 9582694087 (このIDを非表示/違反報告)
菜々(プロフ) - るりさん» はい!!楽しみにしてます!!! (2020年10月19日 21時) (レス) id: 01635a8a59 (このIDを非表示/違反報告)
るり - 菜々さん» ありがとうございました! 出来次第こちらから連絡させていただきます (2020年10月19日 20時) (レス) id: 9e4d04db34 (このIDを非表示/違反報告)
菜々(プロフ) - るりさん» 羽織は、桜の模様と決めています!全体的にピンク色の桜の花が広がっている感じです……! (2020年10月19日 18時) (レス) id: 01635a8a59 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:菜々 | 作成日時:2020年2月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。