音の時間 side:渚 ページ38
僕は笑って歩く。
怯えと戸惑いの表情を浮かべる鷹岡先生。
そして、頭の中で再生されたロブロさんの声······
『必殺技······と言っても、"必ず殺す技"ではない。これは······"必ず殺すための技"だ』
あの日、ロブロさんから教わった"必ず殺すための技"······
それは相撲でいう、"猫だまし"だった。
この音は敵の意識を一瞬だけ真っ白にして隙を作ってくれる。
ましてや、僕が今いるのは殺し合いの場所。
負けたら即死の恐怖と緊張は、相撲の比ではないとロブロさんは言っていた。
極限まで過敏になった神経を······音の爆弾で破壊する！！
手を叩くなら、持っているナイフを手放すことになる。
でも、それでいい。
そうすると敵は虚を衝かれるらしいから。
手練の敵なら僕の挙動1つ1つを良く見ている。
鷹岡先生もそう······
手の叩き方は、体の中心で片手を真っ直ぐ敵に向ける。
そしてその手の腹に、もう片方の手をピッタリと当て音の塊を発射する感覚で。
タイミングはナイフの間合いのわずか外。
接近するとほど敵の意識はナイフに集まる。
その意識ごとナイフを空中に置くように捨て、そのまま······
──パァァン
「な、に、が、お、こ、っ」
鷹岡先生は大きく仰け反った。
暗殺者はその数瞬を逃さない。
流れるように2本目の刃を······
僕はスタンガンを抜き、鷹岡先生の脇に当てた。
電流を流し、鷹岡先生はそのまま座り込んだ。
「ハァ、ハァ、ハァ······」
やった······
「······とどめを刺せ、渚。首あたりにたっぷり流しゃ気絶する」
僕はスタンガンを鷹岡先生の首に当てた。
······殺意を教わった。
抱いちゃいけない種類の殺意があるってこと。
その殺意から引き戻してくれる友達の大切さも。
殴られる痛みを、実践の恐怖を、この人からたくさんのことを教わった。
ひどいことをした人だけど、それとは別に授業の感謝はちゃんと言わなきゃいけないと思った。
──感謝を伝えるなら
(やめろ······)
──そういう顔をすべきだと思ったから
(その顔で終わらせるのだけはやめてくれ)
──だから、僕は
(もう一生、その顔が悪夢の中から離れなくなる)
僕は······笑った。
「鷹岡先生、ありがとうございました」
そして、そのまま電流を流した。
鷹岡先生はその場に倒れる。
「「「よっしゃああ。ボス撃破！！！！」」」
皆の声が屋上に響いた。
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羽衣瑠璃(プロフ) - とまてぃーがーるさん» とまてぃーがーる。さん、コメントありがとうございます。夜中になっても読んでいたなんて少し驚きました。 (6月10日 18時) (
レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
とまてぃーがーる - 業がイケメンダァ！！！！好み。夜中の3時まで読んじゃうぐらい！（実話） (6月10日 17時) (レス) @page32 id: 9a5c8c0bcc (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃 - lokilokiさん» lokilokiさん、コメントありがとうございます。渚くんはとても優しいので、作者は好きです。 (2023年1月16日 6時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
lokiloki - 高岡マジで最低。渚が夢主ちゃんのことも考えていて、優しすぎる！！ (2023年1月15日 23時) (レス) @page38 id: 56bf4b609c (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃 - 祝・お気に入り登録者100人！！！ 皆さん、ありがとうございました(^.^) (2023年1月15日 11時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽衣瑠璃 | 作成日時：2022年12月31日 13時
