プロの時間・2時間目�� ページ14
どう突破するか悩む烏間先生。
すると、
「なによ。普通に通ればいいじゃない」
イリーナ先生が平然とそんなことを言った。
普通に通る！？
この言葉に何人かが小声で怒る。
「状況判断もできねーのかよ、ビッチ先生！！」
「あんだけの数の警備の中をどうやって······」
「だから、普通によ」
そう言ってイリーナ先生はグラスを持ってフロントへ歩いた。
その足取りはふらついていて、よく見ると顔が少し赤い。
そして持ち前のその美しい美貌と体で、警備の男たちの視線を集めていく。
そして、1人とぶつかった。
イリーナ先生は初めてE組にきた時と同じ、甘い声を出す。
「あっごめんなさい。部屋のお酒で悪酔いしちゃって」
「あ、お、お気になさらず、お客様」
なんの疑いを抱かず、頬を染め鼻を伸ばす男。
「来週、そこでピアノを弾かせて頂く者よ。早入りして観光してたの」
ピアニストだと嘘をつき、男たちはそれを信じたようだ。
イリーナ先生は一瞬だけニヤッと笑い、ピアノの前に座る。
「酔い覚ましのついでにね、ピアノの調律をチェックしておきたいの。ちょっとだけ弾かせてもらっていいかしら？」
「えっ······と、じゃあ、フロントに確認を──」
「いいじゃない。あなたたちにも聴いてほしいの。そして審査して。私のこと審査して、ダメなとこがあったら叱ってください」
そう言って、イリーナ先生は鍵盤に指を置き······
──〜♪〜♪〜♪
聴こえたのは、美しいピアノの音だった。
──〜♪〜♪〜♪
「め······メチャメチャうめぇ······」
皆はこれに驚く。
そして俺は······
『綺麗······！！』
感動していた。
フレデリック・ショパンの即興曲第4番・"幻想即興曲"。
久しぶりだ。
誰かのピアノの演奏をこんなにも感動したのは······
イリーナ先生が合図を送り、俺らは警備たちが夢中になってる間に通る。
「······すげーや、ビッチ先生。あの爪でよくやるぜ」
「ああ。ピアノ弾けるなんて一言も」
「普段の彼女から甘く見ないことだ。優れた殺し屋ほど万に通じる。彼女クラスになれば······潜入暗殺に役立つ技能ならなんでも身につけている。君らに会話術を教えいるのは、世界でも1・2を争うハニートラップの達人なのだ」
改めて、俺たちはイリーナ先生のプロの技術を思い知った。
······今度、連弾しようって誘おうかな。
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羽衣瑠璃(プロフ) - とまてぃーがーるさん» とまてぃーがーる。さん、コメントありがとうございます。夜中になっても読んでいたなんて少し驚きました。 (6月10日 18時) (
レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
とまてぃーがーる - 業がイケメンダァ！！！！好み。夜中の3時まで読んじゃうぐらい！（実話） (6月10日 17時) (レス) @page32 id: 9a5c8c0bcc (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃 - lokilokiさん» lokilokiさん、コメントありがとうございます。渚くんはとても優しいので、作者は好きです。 (2023年1月16日 6時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
lokiloki - 高岡マジで最低。渚が夢主ちゃんのことも考えていて、優しすぎる！！ (2023年1月15日 23時) (レス) @page38 id: 56bf4b609c (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃 - 祝・お気に入り登録者100人！！！ 皆さん、ありがとうございました(^.^) (2023年1月15日 11時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽衣瑠璃 | 作成日時：2022年12月31日 13時
