実行の時間�� ページ20
水しぶきの音が聞こえた。
プールに落ちた俺はゴッと岩に頭を打つ。
水が少しだけ赤く染まったから、多分血が出たんだろう。
着ているパーカーや制服が水を吸ってどんどん重くなるのを感じた。
『······っ！！』
息が······！
鼻と口からどんどん空気が出ていく。
俺、このまま死ぬのか？
流されて、誰にも気づかれずに？
······いや、それも案外いいのかもしれない。
生命保険、いくらだっけ······
『おにーちゃん』
······んな訳あるか！！
優希を置いて死ぬ訳ないだろ！！
俺は一瞬でも優希を置いて死のうとした自分を恥じる。
そして急いで光へと手を伸ばす。
生きないと！
生きないと！！
生きないと！！！
なのに、俺の手は水面から遠ざかっていく。
そういえば、最後に泳いだのっていつだったっけ······？
思うように体が動かず、俺は流されていく。
ヤバ、い······
『っ！？』
すると、体になにかがキツく絡まった。
え······
──ザパァッ
『ゲホッゴホッ······ハァ······ハァ······ハァ······』
俺は足りない酸素を吸う。
髪からポタポタと水が滴り落ちていた。
「お前は、いつも危険な状況になっているな」
『い、イトナ······！』
イトナは触手で俺を助けたらしい。
そんなイトナの隣にはシロもいる。
「結局、彼女のことを助けたのかい」
「助けたのはAだけだ。ほかは助けてないから問題ない」
「······まぁ、そうだね。見た所、彼女は服のまま。あのままだったら確実に溺死していたね」
"溺死"という単語を聞いてゾッとした。
イトナは俺を岩場に降ろした。
「じゃあな、A。兄さんを殺したら今度はお前を殺す」
そう言って、イトナとシロはどこかへ行ってしまった。
『いっ······！』
岩をぶつけた所を触ると、指に血が付着していた。
まぁ、このくらいだったら大丈夫だろ。
俺はポケットからハンカチを取り出し、傷口に当てて止血。
にしても、寺坂はイトナたちと組んだのか······
······いや、利用されたのか？
さすがに、あいつにだって良心くらいあるはずだ。
······多分。
俺は誰もいないことを確認して、パーカーを脱いで水を絞る。
よし、これでいいだろ。
そして比較的軽くなったパーカーをもう1度着る。
シャツが肌に張りつくのが気持ち悪いが我慢だ。
『皆の所に行くか』
俺はハンカチで頭を押さえながら皆を探した。
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羽衣瑠璃(プロフ) - めいさん» めいさん、コメントありがとうございます。そう言ってもらえるととても嬉しいです。こちらこそ、読んでくださりありがとうございます。 (6月10日 9時) (
レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
めい - 業と夢は最高です！夢好きのユートピアです！本当にありがとうございます！！！！ (6月9日 23時) (レス) @page19 id: b6e4cc6331 (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃 - 七星 麗華 (ななぼし れいか)さん» 七星 麗華 (ななぼし れいか)さん、コメントありがとうございます。これからも更新頑張ります！ (2022年12月29日 15時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華 (ななぼし れいか) - 更新頑張って下さい！！！！！ (2022年12月29日 14時) (レス) id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃 - lokilokiさん» lokilokiさん、コメントありがとうございます。カルマくんの想いが早く届くといいんですけどww (2022年12月22日 7時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽衣瑠璃 | 作成日時：2022年12月13日 19時
