迷いの時間�� ページ42
理事長はハンカチで手を拭きながら俺の方へ戻ってきた。
そして、また地面に膝をついて聞いてきた。
「Aくん、あの男になにをされた？」
『え、えっと······』
されたことって······
思い返す、数々の暴力行為。
······よしっ。
面倒だし、少しだけ嘘──
「ちなみに、嘘偽りなく教えてほしい。嘘をつけば国家機密は言わないが、殴られたことを優希くんに報告しよう」
『それだけはやめてください！ ······っ！！』
いっ······！！
叫んでしまい、激痛が走った。
意識がはっきりし、鈍かった痛みがクリアになってきたようだ。
てか、優希にバレるのは絶対にダメ！
ましてや、殴られたなんてバレたら······
『えっと、まずお腹を膝蹴りされました。次に左頬を平手打ち······』
「右頬の擦り傷は？」
『それは肋骨辺りを蹴られた時に吹っ飛んで、地面に顔を擦って······で、でもそんなに重傷ではな、グエッ』
理事長が俺の肋骨を軽く押した。
突然の激痛に俺は我慢できずにうめき声を上げてしまった。
『いったぁ······！！』
「『重傷じゃない』か······おそらく、その蹴りで肋骨が折れたんだろう」
「「「えっ！！？」」」
理事長の言葉に皆が驚いている。
バーレーてーるー。
なんで触診だけで折れてるって判断できるんだよ。
最悪······
『で、では、帰りに病院に行き──』
「このあとは放課後だ。このまま一緒に病院まで行こうか」
『お断りします······』
「今から優希くんも呼ぼうか？ 話したいことが──」
『このまま、病院で検査を受けます······』
理事長は、俺が優希に心配かけたくないことをよく知っている。
なんなら、俺のすべてが優希だということも知っている。
いや、それは浅野もそうか。
関わりたくないと言いつつ、理事長や浅野との関係は継続されているのが現状。
2人は俺が思うよりずっとしつこく、多少のことでは見捨てないんだろう。
早く見捨ててほしいといつも思っている。
でも、結局俺は1人じゃなにもできない。
今日だってそう。
大丈夫だと思っていたのに、全然大丈夫じゃなかった。
結局トラウマに負け、理事長に助けてもらうしかなかった。
そして······俺は理事長の優しさに安心してしまった。
ほんと、俺って子供のまんまだな······
──どんなに頑張ってもトラウマに勝てない、ただの無力な子供
俺はそんな自分がやっぱり嫌いだった。
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羽衣瑠璃 - 空織さん» 空折さん、コメントありがとうございます。今日は更新する予定なので、楽しみにしていてください。 (2022年12月10日 16時) (
レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
空織 - 焦らずに更新してください。つづきまってます (2022年12月10日 10時) (レス) @page43 id: d73f191881 (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃 - 空折さん» 空折さん、コメントありがとうございます。これからも楽しんでもらえるよう、頑張って更新していきます。 (2022年12月6日 17時) (レス) @page2 id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
空折 - 面白かったです！続き待ってます！ (2022年12月6日 17時) (レス) @page32 id: 923c669e71 (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃 - 綾崎さん» 綾崎さん、コメントありがとうございます。誤字報告助かります。ありがとうございます！ (2022年12月5日 22時) (レス) @page32 id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽衣瑠璃 | 作成日時：2022年11月23日 20時
