検索窓
今日:16 hit、昨日:14 hit、合計:42,118 hit

6:hm ページ6

.


 実家から送られてきた段ボールを開けるとぶわっと青臭さがひろがり、まだ土が落ちきっていないような夏野菜がごろごろと大量に送られてきた。

「おやさい?」

「そ、夏野菜やで。これ知ってるやろ?」

「とまとっ!」

「せいかーい。こっちは?」

「きゅりー!しげだいっきらい!!」

「正解やけど語弊があるというかなんというか…」

きゅうりの発音はさておき、しげちゃんはきゅうりが大嫌いだから間違ってないんだけどなんだろうか、このしげちゃんには絶対聞かせられない感じは。

「ほな、じゅんた、これ知ってるか?」

「わっ!やだ…おひげこわぁい…!」

「怖ないよ。あまーくておいしいんやから!」

「……おかし?」

「んーん、とうもろこしっていうお野菜」

「とうろろろこし…?」

「ふは、言えてへん。とう、もろ、こし。皮剥いたらきっとじゅんたも知ってるー!ってなる思うわ」

「とう!ろうもうころし!じゅんたみてみたい!」

一生言える気配のない、なんならちょっと穏やかじゃない言い間違いをつづけるじゅんたからリクエストをいただいたのでとうもろこしを1本茹でてみる。皮を剥いたら早速「コーンっ!」と見覚えのある形状におめめがまんまるに。茹でてる間は剥ぎとったゴミ箱に捨てられたとうもろこしのおひげに興味津々。恐る恐る指先でつんつんってしてはびっくりしておおきなくちをあけて固まるのが可愛い。

「切った方がええんやろうけどー…こうっ!」

食べ過ぎておなかを下してもよくないし、じゅんたの小さな手とくちでは食べづらいから食べやすいサイズに切ってあげたほうがいいんだろうけど田舎育ちとしては、せっかくなら1本丸々のとうもろこしに思いっきり豪快にかぶりついてほしい。食べ切らなかった分は俺が食べればいいし…そう思ってお手本を見せる。

「あむっ」

「ふへっ!ひゅんたぁ!?」

「ん〜〜〜おいちぃねえ!」

こうやで?わかった?と聞こうとしたタイミングでじゅんたはあろうことか俺がかぶりついている反対側にかぶりついてきた。あらやだ。顔近っ。かわいいっ。そんで思ってたんとちがう。だけど、すごく豪快だったし本人もおいしいのポーズをとってうれしそう。

「じゅんた自分で持ってやってみ」

「んーん、もういっかい」

「えー?もういっかいだけやで?」

「あむっ!ん〜〜っ♡」


……まあ1本食べ切るまでやったよね。


.

7:kr→←5:rs



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (166 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
399人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:26 | 作成日時:2022年5月26日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。