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実家から送られてきた段ボールを開けるとぶわっと青臭さがひろがり、まだ土が落ちきっていないような夏野菜がごろごろと大量に送られてきた。
「おやさい?」
「そ、夏野菜やで。これ知ってるやろ?」
「とまとっ!」
「せいかーい。こっちは?」
「きゅりー!しげだいっきらい!!」
「正解やけど語弊があるというかなんというか…」
きゅうりの発音はさておき、しげちゃんはきゅうりが大嫌いだから間違ってないんだけどなんだろうか、このしげちゃんには絶対聞かせられない感じは。
「ほな、じゅんた、これ知ってるか?」
「わっ!やだ…おひげこわぁい…!」
「怖ないよ。あまーくておいしいんやから!」
「……おかし?」
「んーん、とうもろこしっていうお野菜」
「とうろろろこし…?」
「ふは、言えてへん。とう、もろ、こし。皮剥いたらきっとじゅんたも知ってるー!ってなる思うわ」
「とう!ろうもうころし!じゅんたみてみたい!」
一生言える気配のない、なんならちょっと穏やかじゃない言い間違いをつづけるじゅんたからリクエストをいただいたのでとうもろこしを1本茹でてみる。皮を剥いたら早速「コーンっ!」と見覚えのある形状におめめがまんまるに。茹でてる間は剥ぎとったゴミ箱に捨てられたとうもろこしのおひげに興味津々。恐る恐る指先でつんつんってしてはびっくりしておおきなくちをあけて固まるのが可愛い。
「切った方がええんやろうけどー…こうっ!」
食べ過ぎておなかを下してもよくないし、じゅんたの小さな手とくちでは食べづらいから食べやすいサイズに切ってあげたほうがいいんだろうけど田舎育ちとしては、せっかくなら1本丸々のとうもろこしに思いっきり豪快にかぶりついてほしい。食べ切らなかった分は俺が食べればいいし…そう思ってお手本を見せる。
「あむっ」
「ふへっ!ひゅんたぁ!?」
「ん〜〜〜おいちぃねえ!」
こうやで?わかった?と聞こうとしたタイミングでじゅんたはあろうことか俺がかぶりついている反対側にかぶりついてきた。あらやだ。顔近っ。かわいいっ。そんで思ってたんとちがう。だけど、すごく豪快だったし本人もおいしいのポーズをとってうれしそう。
「じゅんた自分で持ってやってみ」
「んーん、もういっかい」
「えー?もういっかいだけやで?」
「あむっ!ん〜〜っ♡」
……まあ1本食べ切るまでやったよね。
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作者名:26 | 作成日時:2022年5月26日 11時