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「こんにちは…」
『こんにちは。ひとりできたの？』
声は小さいながらも約束通りあいさつをすると店員さんがひとりでおつかいにきたことを褒めてくれる、本家さながらのやりとりに一同テンション爆上がり。じゅんたも緊張が解けて「おはなください」とさっきより大きな声で言えた。
店員さんが用意してくれた小さな台にのってたくさんあるお花を目線が行ったりきたり…俺たちの名前をくちに出しながら真剣に悩んでいる。最初に決まったのは流星。店員さんが手にとったのは花は青くて「そうなるわな」と。でも名前が「ブルースター」だったのは驚いた。
「しげ、あっくん、のんちゃん、じゅんた」
こちらはこちらで種類がたくさんあるから悩んだみたいだけど見ている方も納得の選択。緑は葉のイメージだけど思ったより種類もあって、ふにゃっとした笑顔で緑のカーネーションを指して「ともくん」と言われた時は破顔した。
『すごいカラフルになったね』
「あとはまちゃんだよ！」
『はまちゃんはどうしよっか』
「はまちゃんはね〜…ふふん」
大好きな�陲舛磴鵑�よろこぶ顔を想像したのか、肩をすぼめて嬉しそうに笑う。あまりの可愛さに隣でみていた店員さんも撃ち抜かれてしまっている。そしてたくさんある紫の花のなかからたくさん悩んでライラックを選び、持ち帰れるように包装してもらった花のなかにはおつかいがんばったご褒美としてサービスでカスミソウが入っていた。
「ありがとうございました、ばいばぁい」
難なくお会計を済ませ、お花を抱きかかえてすっかりノリノリのじゅんた───だったんだけどスタジオとは逆方向に歩いている。
「となりのとなり…あれ…ちゃう…」
みんなどこよー？という泣き出しそうな表情と声色のひとりごとにぎゅうと胸が締めつけられて痛い。
「んんぅー…はやくあいたいなぁ…」
なんとか軌道修正してどんどんスタジオに近づいてきているけれど、じゅんたの大きなおめめからはぽろぽろと涙がこぼれていた。倍の距離になった帰り道、スタジオの前に到着するとお花を一度置いて両手で涙をぬぐった。
「じゅんたよー！おつかいしてきたよー！」
「「「「「「俺が行くっ！」」」」」」
スタジオのドアはまだじゅんたには開けられない。
ドアを開けに、じゅんたを迎えに一斉に立ち上がって大人が複数人でのぼるにはせまい階段を駆けあがっていく。
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作者名：26 | 作成日時：2021年10月29日 1時
