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昨晩、年に数回不定期で放送される��生まれてはじめてひとりで『おつかい』に挑戦する子どもたちのドキュメント番組��を見た数人のメンバーからじゅんたにおつかいさせたい！の声があがるのは当然っちゃ当然。とはいえ、あれは番組スタッフの全面協力と綿密な打ち合わせがあるから成り立っているわけで、３歳児をぽんっと外に出すなんて考えるだけで恐ろしい。
緑「しげ、照史、流星、のんちゃん…おっけ？」
「しげ…あきと…りゅうせえ…のんちゃん…おけ！」
緑「レッスン室と会議室におるから届けてくれる？」
「いいよ！かみちゃんいきましょ！」
みんなに届けるパックのジュースを詰め込んだリュックを背負ったじゅんたに手を差し出されれば反射的に繋いでしまいそうになるし、俺が手を引っ込めたのがわかると不満気にほっぺたを膨らませる姿が可愛すぎて甘やかしたくなる。けれど今日のおつかいは今度撮影現場で行おうとしているはじめてのおつかいの練習であり唯一の反対派──仕事で関わった子どもたちのやりたがる事や出来そうな事を積極的にやらせてきたはずの照史に認めてもらうための試験だから心を鬼にしなければならない。
緑「一緒に行きたいのは山々なんやけど神ちゃんはここでお仕事せなあかんのよ。だからお願いっ！」
「ぶぅー…かみちゃんといくもん…」
緑「…あ！もしかして出来へんの？」
「っ、できる！ちょっときゅうけいしてたのぉ！」
緑「そっかそっか、休憩してたんか。神ちゃん勘違いしてたわ、ごめんな〜…そしたらじゅんたもりんごジュース飲んでパワーチャージしようぜ〜！お、いい飲みっぷり！」
「……ねえねえかみちゃん？」
緑「んー？」
くちのまわりを拭いてあげているとまんまるの目をしたじゅんたに声をかけられた。マンション内だから不安はないと思うけど、重たいとかめんどくさいとか言い出す可能性は多いにある。
「これやったらかみちゃんうれしい？」
緑「めちゃくちゃうれしいで」
「はまちゃんは？」
緑「はまちゃんもじゅんたがおつかいしてくれた言うたら喜ぶんちゃうかな〜、褒めてくれると思うで！」
「へへへっ、じゅんたおつかいいってきまぁす！」
緑「はーい、階段気をつけるんやでー」
グループラインにじゅんたがラウンジを出発した報告を入れて、んしょ、よいしょと一段ずつ声を出しながら、はじめてひとりで階段を登っているうしろ姿をこっそり見守る。
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作者名：26 | 作成日時：2021年10月29日 1時
