Holy cow！（JW） (ページ41)

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　すっかり涼しくなってきた９月のある日、コーヒーでも飲もうとラウンジの冷蔵庫を開けるとうしろからついてきたじゅんたくんが中を覗きこんだ。

橙「じゅんたくんも何か飲む？」

「んーん」

橙「なにを探してるんですかー」

「ケーキ」

怒涛の誕生日ラッシュでみんなでお祝いをしたり、現場で頂いたりとほぼ７月から８月にかけて食卓やおやつの時間によくケーキが出てきていた。

橙「ケーキはないな〜…」

「ざーんねぇん…」

とぼとぼ…とくまのぬいぐるみを引きずりながらキッチンを出ていくうしろ姿が切なくも可愛い。

紫「どうしたん！？」

赤「照史か！？照史になんかやられたんか！？」

橙「…おい！」

キッチンでのやりとりを伝えるとみんながケラケラ笑い出すから、じゅんたはぷくーと頬を膨らました。

緑「来月はたくさんケーキ食べられるやん」

赤「……あっ、そうやん」

「ケーキいっぱい！！？」

紫「そやで、じゅんたの誕生日やからな！」

「たんじょおび…」

緑「じゅんたがひとつお兄さんになる日やで」

桃「３歳か！お兄さんやな！」

青「欲しいものとかあるか？」

「…ない」

橙「あら？」

てっきり自分の誕生日と聞いて大よろこびするかと思いきや、とぼとぼ部屋のすみっこまで行き、壁を見つめながらくまさんとならんで座っている背中は少なくともうれしそうではなかった。

橙「崇裕、出番やで」

紫「あいあいさー！」

くま、じゅんた、崇裕の背中を見つめる俺たち。
じゅんたくんが何かしゃべってるのはわかるけどはっきりと聞こえず、たまに「んぁあ」「なぁっ」という崇裕の悲鳴みたいなリアクションだけ聞こえてくる。

紫「じゅんた、お兄さんになりたくないんやて」

緑「どういうこと？」

紫「お兄さんになったら……〜〜〜っ」

桃「え、なにっ」

赤「はよ言えや」

紫「俺たちにあまえられなくなってまうーって！」

赤桃「なんで！？」

橙「俺らも＂お兄さんになったらな〜＂とか言うてたし、お兄さんになったら何でもひとりでやらなあかんと思ってるんやろな」

緑「プレッシャーになってたんか…」

桃「いうても３歳やで！？」

赤「流星なんかまだひとりでトイレ行けへんのに」

青「行けるわ」

年齢を重ねることは素敵なこと。素直によろこべなくなるのはもっと大人になってからでもいいのに…言葉掛けのむずかしさを痛感した。