そばにいた (ページ20)

今日:18 hit、昨日:0 hit、合計:49,839 hit

。ページ20

.

.

何度も殴ろうとするけど、その拳がぶっきーにぶつかることはなく、

ぶっきーの拳は甲斐のみぞおちに入った。

甲斐「…っ、」

『甲斐…っ、』

もういいよ、辞めてよ。

こんなの間違ってるよ。

柊「…お前が起こした傷害事件、あれは元々お前が景山を使って金を稼ごうとしたことがきっかけなんだよな？」

ぶっきーの口からは、

驚くような言葉が紡がれた。

香帆「どういうこと？」

柊「金に困ってたんだよなぁ？お前の母親は脊髄をやられて介護生活を余儀無くされた。…で、お前もダンスを辞めて働かなければいけなくなった。」

『…え？』

おばさんが、

あの優しい、本当のお母さんみたいだったおばさんが脊椎を…

ってことは、もう歩けない…？

石倉「…んだよそれ。」

甲斐「ごちゃごちゃ煩ぇんだよ！」

おばさんを介護して、弟や妹の面倒を見て、

だからダンスを辞めて、バイトをあんなに…？

ぶっきーに蹴り飛ばさて甲斐はその場に倒れ込む。

でもそんな光景が、夢のようにふわふわとしてて。

.

私はそんな時に、甲斐を頼ってたの？

.

柊「お前は金に目が眩んで景山を廃ビルに連れて行った。…なのになんで、裏切って彼女を助けた？」

甲斐「…あいつらが景山を攫おうとしたからに決まってんだろ！」

二人の会話も、上手く頭に入ってこなくて。

私は甲斐を救うどころか、

ずっと、傷つけてたのかもしれない。

.

.

.

.