そばにいた (ページ15)

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Aside

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鏡に映る自分の顔は、あまりにも酷かった。

泣いて真っ赤になった瞳

腫れてしまった瞼。

元々化粧をそんなにしていなかったから、そのまま顔を洗う。

冷たい水が今は気持ちいい。

本当にどうしてさくらに言ってしまったんだろう。

いや、本当は自分でもどうしてかなんてちゃんと分かっている。

私を、私の心を助けて欲しかったから。

きっとさくらなら助けてくれるんじゃないかって思ったから。

私は自分で、自分を救えない。

甲斐のことも、救えない。

なんて情けないんだろう。

『…戻ろ。』

大きく息を吐いて、トイレを後にする。

すると、教室から出ていく甲斐を見つけた。

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『…甲斐っ、』

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何を話す訳でもないのに、思わずに彼の腕を握った。

「…A。」

『あのさ、』

あぁ、頭では何もまとまってないのに、

『言わなくていいから、何も言わなくていいから。』

口が勝手に動いている。

「は？」

『もう、私十分に助けてもらったから。』

「何言って_____」

『今までありがとう、隼人。』

「Aっ、」

その場を立ち去ろうとした私の腕を、今度は甲斐が掴んだ。

『離してよ。』

今、彼の顔を見ることが出来ない。

振り返らずに声を振り絞った。

甲斐の温もりが、私から離れた。

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