そばにいた (ページ2)

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どうすればいいか分からなかったから、家に招き入れることにした。

お母さんは少しびっくりしたようだけど、事情を話すと快く受け入れてくれた。

「お名前、聞いてもいいかな？」

『…Aです。』

「Aちゃんね。外雪降ってたんでしょう？着替えもないし…とりあえず上着だけでも乾かそうか。」

お母さんの優しい声に安心したのか、彼女は小さく微笑みながら頷いた。

上着を脱ぐ仕草、今思えばなんであんなに時間がかかったのか不思議に思う。

でも今ちゃんと考えれば、見せたくなかったのかな、とか、見せないようにしてたのかなって。

ふと見えた手首には、青紫色に染った痣があった。

お母さんも気付いたみたいで、戸惑ったような表情をしていた。

『あの…どこ置けばいい？』

「え？あぁ、ストーブの前に置いとこうか。」

お母さんとふと目が合った。
俺が何を言おうとしたのかわかったのか、それは分からないけど
ただ小さく、首を振った。

『あの、』

「ん？」

『名前、教えて？』

初めて、彼女と…Aと目が合った。

「隼人。はやと。」

『…はやとくん。』

これが、俺とAの出会いだった。

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