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帰り道で平野くんに会った。
自転車で後ろの方から私の名前を呼んでる。
すーちゃんに言われたことがずっと気になっていて、なんだか平野くんが遠くの人に感じたからわざと気づかないふり。
「Aってば！」
気配をすぐ側で感じてようやく振り向く。
「ああ、平野くん」
「うしろ乗る？」
ふるふると首を横に振る。目が見れない。
平野くんはふーん、と特に気にしていない様子で自転車を降りて手で押しはじめた。
「弁当、ありがと」
「うん」
「美味しかった」
「うん」
「また作ってくれる？」
しっかりと地雷を踏んできた。さっきと同じように首を横に振って、ちょっとだけ早歩き。
「A、どうした？」
平野くんが面食らったように足を止める。私と平野くんの距離は離れていく。
そもそもの話、私は何に怒っているのか、
自分でもわからないんだけど。
平野くんが誰にモテようが、平野くんが何個お弁当を食べようが私には関係のないはず。
はて。このイライラの原因はなんだろう。
モヤモヤしてまたイライラする、悪循環。
ついに平野くんよりも先にお家に着いてしまった。振り返ったら気まずいから、さっさと入って自分の部屋にこもる。何分後かに隣の部屋の開く音がしたから平野くんが帰って来たのだろう。
ビリビリ、バリバリ。がちゃ、ばたん。
業者みたいな作業音。そういえば、引越しの片付け手伝う約束してたんだった。
悩む。平野くんの部屋の扉の前に立って、
ドアノブに手をかけたり、離したり…。
「…手伝う」
ノックもせずに入ると、平野くんは驚いた顔。
そのあと、ふふって嬉しそうに笑った。
「A、やっぱ優しいね」
「だって約束したから」
「うん、ありがとう」
特にお互い話さず、ダンボールを空にして潰して。
作業が終わった頃には、なんだか疲れてふたりで床にばたん。
「A、さっきごめんね、
俺なんか気に触ることしたんだよね？
俺、バカだからさ、あんまりこの…
気とかつかえなくて、Aに何しちゃったのかとか今でもあんまりよく分かってないというか。
だから、めんどくさいかもしれないけど…
思ったことあったら言ってほしい｣
「…平野くんは、悪くないよ」
「じゃあ、」
「ほんとのこと言うとね、」
お互いに横を向いたら目が合った。
彼の瞳は吸い込まれるように綺麗で、
なんだか素直になれる気がした。
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なめこ(プロフ) - こころさん、こんばんは！お話を読んでくださってありがとうございます´`*うふふ、紫耀くんと廉くんの間でたくさん揺れちゃってください〜！これからもよろしくお願いします (2021年4月21日 20時) (
レス) id: 7eda94a468 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - すごくすごく面白いです。言葉選びや言い回しも面白いです！主人公が好きな紫耀くんとハッピーになって欲しいけど、廉くんが優しすぎていい人すぎて悩んじゃいます… (2021年4月16日 1時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2021年4月5日 1時
