○5 ページ5
その日はすぐに来た。
「ご飯作り置きしてるからね！
あ、出かける時はガス線とか気をつけてね！
電気もちゃんと消して戸締りしっかりね！」
平野くんと家族になることを知った日の
3日後の土曜日にはしっかり平野家のふたりがうちに引っ越してきた。
なんなら、私の苗字も平野になったけど、
今のところ知らんぷりでAを貫いてる。
あの日から今も夢だと信じたい私は、
うきうきでキャリーケースを持つお母さんをユウジさんに嘘だと言ってくれ！と願う。
2人を見送る私の隣には、パジャマ姿の平野くん。
「はやく帰ってきてね！」
「ゆっくり楽しんできてね〜」
まったく正反対の言葉で見送る私たちに
「仲良いわね」なんて笑って両親は新婚旅行に出かけた。
「俺、早速この家に馴染みつつあるわ」
「馴染んでない、馴染んでない」
「ちぇっ。冷たいのはAだけだよ？
おかーさんは、ちょう優しいのに」
平野くんはいつからか私のことを下の名前で呼び始めた。家族なんだからいいじゃんって言うけどまだ私は彼のことを名前で呼べない。意地でも呼ばない。
「あ、平野くん
あのさ、学校では内緒ね、ほんとに。
へんな噂たったらお互いやりづらいでしょ」
「へんなウワサってなーに？」
「いろいろあるじゃん、あることないこと言われるの、私は嫌だ」
「ふーん、俺は全然いいけどね！
なんなら、Aっていう可愛い兄弟ができたって言いふらしたいくらいなんだけど
どうだ！いいだろ〜って」
「それやったら、まじで口きかないからね」
といいつつ、自分の耳が赤くなってるのが鏡を見なくてもわかる。
無意識にこんなこと言える人っているんだ。
「ねえ、学校終わったら、俺の部屋の片付け手伝ってよ」
2人分のお弁当を詰める私に平野くんはあくびしながら言う。ね？って寝起きで無造作な前髪の隙間から見える瞳が色っぽいな…なんて思ってない。
「ちょっとだけ、だからね
夕ご飯の準備とか、あるし」
「え！？A夕ご飯作ってれるの！？
やったー！！」
なんだろう、平野くんと一緒にいると
ペースを崩される。
「学校がんばれるぅ」
なんだか悔しくて、
のんびり笑う彼の口にプチトマトを突っ込んでやった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 265人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なめこ(プロフ) - こころさん、こんばんは！お話を読んでくださってありがとうございます´`*うふふ、紫耀くんと廉くんの間でたくさん揺れちゃってください〜！これからもよろしくお願いします (2021年4月21日 20時) (
レス) id: 7eda94a468 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - すごくすごく面白いです。言葉選びや言い回しも面白いです！主人公が好きな紫耀くんとハッピーになって欲しいけど、廉くんが優しすぎていい人すぎて悩んじゃいます… (2021年4月16日 1時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なめこ | 作成日時：2021年4月5日 1時
