○3 ページ3
「A？」
ずっと桜を見てたはずの平野くんが
今度は私をじっと見ている。綺麗な顔で。
「なんで、家から出てきたの？」
「だから、桜」
「花見は肉まん必須なのに、財布置いて出かけないでしょ、ふつう」
「肉まん…うん、そうだね、もう」
鋭いんだか、鈍いんだか本当に分かりかねる。
でも、彼は本当に不思議そうにしてるからきっと天才。
「ほんとは…桜とかでもなくて
うちのお母さんが変な提案してきたの
だからなんかどうしたらいいかわからなくて
気付いたら平野くんとここにいる」
うちの母は本当に自由な人だ。
どっちかというと平野くんみたいな、
感覚で生きてる感じの人。
父と離婚してから、母に恋人がいるのは知っていたし、わたしも特別気にしてはいなかった。その母の恋人に会ったことこそなかったが、母はデートから帰ってくると「ねぇA、聞いて聞いて」とよく話は聞かされていた。母の恋人はいい人、そんな印象。
「じゃあ何が問題なの？」
平野くんが首をかしげる。
そう、問題はそのあと。
お風呂上がりに「Aにあってほしい人がいるの」そう言う母に私も「ついにきたか」と少し心の準備をして、
まあいい人そうだし、1人家族が増えるくらいどうってこと…と思ってたんだけど。
「お母さん、前から話してるユウジさんと結婚しようと思ってるの
実は言ってなかったんだけど、ユウジさんAと同じ歳の男の子がいてね、そしたらA、兄弟ができるのよ、うふふ、双子ね」
それはまあまあの衝撃。高校生になって今さら兄弟増えるなんてやってけるかしら、と焦る私に追い討ちをかけるように母は、
「でね、来週には届けを出してすぐ、新婚旅行に行ってくる1週間！
だから、その間、兄弟仲良くね！」
そして、冒頭に戻る。
「ありえないっつーの！！！」
というわけ。
ひと通り話し終えて、ちょっと自分の中で整理出来たっていうか、平野くんどう思うって問いかけようとしてみた彼の表情は。
「どうしたの、平野くん」
「それ…俺」
「…え？」
「A、その双子…俺かも」
絶句。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 265人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なめこ(プロフ) - こころさん、こんばんは！お話を読んでくださってありがとうございます´`*うふふ、紫耀くんと廉くんの間でたくさん揺れちゃってください〜！これからもよろしくお願いします (2021年4月21日 20時) (
レス) id: 7eda94a468 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - すごくすごく面白いです。言葉選びや言い回しも面白いです！主人公が好きな紫耀くんとハッピーになって欲しいけど、廉くんが優しすぎていい人すぎて悩んじゃいます… (2021年4月16日 1時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なめこ | 作成日時：2021年4月5日 1時
