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花火大会の日。
廉くんはわざわざ迎えに来てくれた。
「お、浴衣ちゃんと着てるやん」
小学生ぶりに浴衣なんか着た。
家に浴衣なさそうだし、普段着にしようと思ってたら、お母さんが執念で自分の若い頃の浴衣を引っ張り出してきた。「Aが浴衣ある？って聞くからなんか嬉しくなっちゃって！」とか言ってたな。
「私、怖いんだけど」
「なにが？」
「新学期になったらいじめられないかな？
靴とか体育着なくなったりしない？」
花火大会は夏の目玉イベントだから、
みんなに会わないわけがない。
「そんときは俺が守ったるわ」
さすが少女漫画。
笑いながら言われるのは腹立つけど、
この男顔がいいからなんでも許されてきた人生なんだろう。それゆえの苦労はいつもみてるけど。
「紫耀は？彼女と行くゆうてたか？」
「うん、それがさ」
ガラポンのことを話したら、
案の定廉くんは「それはもうバカ」と呆れた。
「俺、ペアシートがよかったわあ」
「ごめんね」
「だからお前は！こういう時はツッコめや！」
そのあとも散々ペアシートについての説教を受けた。アホなんか、バカなんかのオンパレード。でも、私がちょっとしゅんとしかけた頃にあんず飴を買ってくれた。
「花火、そろそろだね」
「人いないとこがいいよな？
なんか適当に食べるもん買って座っとこうや」
やきそばにたこ焼きに、って色々歩き回って
人と人の間をすり抜けるの大変。
「A大丈夫？」
「うん」
人の波に逆らって歩いてると、
海沿いの道に出た。
「防波堤、のぼれるか？」
普通の高さだけど、浴衣だとのぼりにくくて、
下駄を脱ごうとしたら、
廉くんがひょいと私の体を持ち上げて、
となりに座らせてくれた。
「ここ高台なんや」
「ね、ひたすら歩いてたから気付かなかったかどめちゃくちゃいい場所来たね笑」
「人がちっちゃ過ぎて豆みたいやな笑
俺らもさっきまであそこいたのが不思議に思えるわ」
あの豆みたいな人の群れの中に紫耀もいるんだろうか。
夜風に紛れてため息をひとつ。
もうすぐ、花火が始まる。
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なめこ(プロフ) - こころさん、こんばんは！お話を読んでくださってありがとうございます´`*うふふ、紫耀くんと廉くんの間でたくさん揺れちゃってください〜！これからもよろしくお願いします (2021年4月21日 20時) (
レス) id: 7eda94a468 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - すごくすごく面白いです。言葉選びや言い回しも面白いです！主人公が好きな紫耀くんとハッピーになって欲しいけど、廉くんが優しすぎていい人すぎて悩んじゃいます… (2021年4月16日 1時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2021年4月5日 1時
