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不思議。
なんでわたし、平野くんと並んで歩いてるんだろ。
「コンビニ、寄っていい？」
「あ、うん」
「花見には肉まんでしょ！」
話してみてすぐわかった。
平野くんは変わっている。うん、シンプルに変なやつだ。
ハイテンションでお花見に着いてきたと思いきや、急に「暗！こわ！」と肝試しをしているかのように夜道を怖がり出して、今は数秒前の恐怖はどこへやらケロッと肉まんに思いを馳せている。
なにも持たずに家を出てきた私は、外で平野くんを待つ。彼に遭遇したことですっかり忘れてたけど、家を飛び出してきたんだった。
「ん、おまたせ」
「肉まん、もう食べてるんだ
桜見ながら食べるんじゃないんだね」
「あ、そうか！ごめんごめん」
いったいなにに対するごめんなのか、
何も考えてないのか、深入りしたら私の頭がおかしくなるのが先だろう。無視無視。
「ねえ、平野くん
私たち今日初めて話した感じしないね」
「あれ、話したことなかったっけ？
同じ学校のやつ見つけて、テンション上がって話しかけちゃったんだな〜」
アハッって笑う彼の横顔に不覚にもドキドキした。こんな全世界の同年代を友だちだと思ってしまうくらいおかしな人に。
「平野くんて、どこら辺に引越してきたの？」
「あっ、まだ引越してないんだけど
学校から新しい家の距離どれくらいか測ってみようと思って！」
「いや、徒歩で距離測ってんの？
スマホ使えば家でも知れるでしょ」
「なんでそんなに笑ってんの」
「変な人だねってお友だちに言われない？」
「言われない…こともない」
遂に私はしゃがみこんで笑う。
「変な人はAも一緒じゃん」
不服そうに頬を膨らませた平野くんが
小さくあっ！って叫んだ。
それにつられてしゃがみこんでる私も平野くんを見上げる。
「あ！！」
彼と話すのに夢中で気づいていなかった。
私たちの頭上には視界が埋まるほどの満開の桜。
「俺ら、桜見たいって言って歩いてたのに、もう少しで素通りするとこだった、焦ったー」
平野くんも私のとなりにしゃがみこんで
桜から目線を離さずにコンビニの袋を私に渡す。
「これ、食べたら温かいよ」
「肉まん…さっき食べてたじゃん」
「ん、ふたつ買ったから1個あげる」
「私に？」
「うん、Aの分も買ったのに渡すの忘れてた」
うそでしょ、自分買って速攻食べてたじゃん
どう忘れんのよとは思ったけど、
「平野くん、ありがと」
彼はまだ桜から目を離さずに
ちょっと嬉しそうに笑った。
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なめこ(プロフ) - こころさん、こんばんは！お話を読んでくださってありがとうございます´`*うふふ、紫耀くんと廉くんの間でたくさん揺れちゃってください〜！これからもよろしくお願いします (2021年4月21日 20時) (
レス) id: 7eda94a468 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - すごくすごく面白いです。言葉選びや言い回しも面白いです！主人公が好きな紫耀くんとハッピーになって欲しいけど、廉くんが優しすぎていい人すぎて悩んじゃいます… (2021年4月16日 1時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2021年4月5日 1時
