依存病人【d!】 (ページ23)

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許す。

なんて、そんな事よく言えたものだ。

いまだに感触の残る手を視線から外すようにして横に下した。何故あんなことを言ってしまったのか。さっさと突き飛ばして逃げてしまえばよかったのに。

どうやって？逃げ場なんてないくせに。

矛盾する考え同士がぶつかり合って気持ち悪い。めくれてしまい所々がよれたシーツを強く握りしめた。

「な、なあ。」

不意に目の前が暗くなる。何事かと俯いていた顔を上げると、目と鼻の先に黄色い瞳があった。

「わあっ!?」

気の抜けた声が出てそのまま後ろに下がる。背中に柵が当たってようやく落ち着きを取り戻す。先程も同じことがあったような。
シャオロンはと言うと、目の前で奇声を上げて腰を抜かしながら後退していくAに笑いをこらえていた。

一度深呼吸をするとAはシャオロンの方を向いた。聞くと、先程から話しかけていたらしい。全く気付かなかった。

その後も会話を続けていると、シャオロンは自ら頷きながら言う。

「まあ、でもお前をここで見つけたのが俺で良かったな。」

「俺以外の奴やったら、お前今頃死んどったで。」

殺そうとしてきた人がなにを言っているのだろう。

「だから、その、な？」

同意を求めるようにして尋ねられるが、全くもってその意図が分からない。

そのままAが訝し気な視線を送ると気恥ずかし気に頭をかいて、だから、その、と繰り返している。
そして目を皴が寄るほど強くつぶるとすぐさま見開いて逸らしていた顔を再び近づけた。赤くなった頬がどこか幼さを感じさせる。

「俺が!守ったるわ!!」