依存病人【d!】 (ページ3)

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兆しページ3

きっと今までの事の罰が当たったんだろう。

友人のお菓子を食べてしまった事を、黙ったままでいたな。それとも、先日嫌な同僚への悪態を頭に浮かべていたからだろうか。

そうでなければこんな目に合う事は無い筈だ。
久しぶりに出たボーナスで少しの贅沢をしようと買ったケーキや高いカップ麺も家にまだある。もう家に戻ることも、食べる事も無いだろう。大変残念だ。

「まだあのカップ麺、食べたことないのになぁ...」

そんな些細なことが今になって悔やまれる。

地面から空中へと立ち上る火花が頬をかすめる。
無理やりに引きちぎられた硬い金属は断面が高熱で炙られた様に拉げてねじ曲がっている。そこから零れる様々な色をしたコードの束から飛び出た銅線の表面に青白い光が走った。
施されていた舗装は焦げ目をつけて煙を出している。車両の結合部分が激しく損傷し、中が顕になっている。

体のあちこちが痛む。

目の前に転がっている床の破片や手元に感じる硬い感触。動こうとしても、地面に張り付けられたかのように動かない。きっと体はすり傷だらけだろう。

怪我をしたから動けないという訳ではない。先程の内臓を直接揺さぶられるような衝撃がきっと体の動きを抑制しているのだろう。

今どんな状態なのか考えたくもない。

視界の先で大きな破壊音や爆発音を引き起こしている元凶が見える。人から発せられるとは到底思えない。何か別の生命体であるかのような鳴き声の様な声が耳奥まで届き、痺れの様なものに変化し背筋を駆け巡る。

こわい。

こんなことになるならもっと色々楽しめばよかった。こんな最後、あんまりだ。

次第に暗くなっていく視界に映る、鋭い視線で此方を捉えたそれをぼんやりと唯眺めると、そっと目を閉じた。