買われました【d!】 (ページ13)

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貧弱ページ13

どうやら、ここは若干軍事国家であるらしく、城の中やその周辺には武器庫や訓練設備が完備されている。

今までそんな物とは無縁の生活をしていたため、如何にも戦闘するためだけに作られたそれに、Aはおもわず息を漏らす。

しかし、思考はすぐさま切り替わり、腹部に残るじわじわとした痛みに顔を少し歪めた。

幹部、と言うと、やはりある程度の戦闘能力をつける必要がある訳で。

お前の戦闘能力を知りたい。と、コネシマに連れられAは訓練場へと向かっていた。

結果的に言うと、伸された。

それは、もう。コテンパンに。
圧倒的な力の差で、完膚なきまでに負けた。そもそも、勝負にすらなっていなかっただろう。

Aは、新人だと紹介された軍人と挨拶を交わして数秒後、組み手をコネシマから命令された。

Aも新人も、唖然としながらぎこちない様子で訓練場へと入った。

それから数分も経たないうちに、決着はついた。

幾ら新人だとはいえ、戦闘のために訓練された体を持つ魔物に、戦闘とは無縁であった人間が敵うはずもなく。
ストレートが見事に腹へと決まり、Aは少しの浮遊感の後、凄まじい衝撃を背中に感じ、同時に意識を飛ばした。

幹部と聞かされていた新人は、予想以上に力のない上司に驚きつつ、自らの拳によって奥の方に伸びているAを見てオロオロと慌てている。

その様子を見ていた鬱は顔を真っ青にし、命令を下したコネシマは爆笑していた。

Aが目を覚ました後、直ぐにコネシマから話があった。

あれだけやれといっていたが、先程の様子を見て考えを改めたのか、「お前には向いとらん」と笑いながら告げられた。

そりゃあそうだろうな

若干キレつつAは頷いた。当然である。

記録管理を担当するものが足りていないらしく、そのまま流れで担当することになった。

そして、仕事をしていて分かったこともあった。

この世界では、思っていた通り余り学問が進んでいない。身分の差がある時点で、なんとなく予想はしていたが、それはもう酷いものであった。

手を使って文字を数えられる者はまだいい方で、自らの名前しか書けない者もいた。
国の直下である兵士がこれでは、国民の方もまあ酷いのだろう。

しかし、かく言うAも、この世界の文字を知っているわけではない。ただ、何が書いてあるのかを、自然と頭で理解できた。
かと言っても、この現象が何時までもつかは分からない。早めに文字を覚えて悪い事はないだろう。