買われました【d!】 (ページ1)

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枯渇ページ1

その日、人類は崩壊の道をたどった。
まばゆい熱戦に包まれたまちは、綿菓子のように溶けて消えた。

家、地下、上空。何処へ行こうともその光は逃がさないと、意思を持ったようにすべてを包み込む。
日本中、いや、世界中がこの白光に包まれているのだろう。

人間の快楽のために作られた人工知能が人類に牙をむくのに、そう時間はかからなかった。
全ての原子発電所は一斉に稼働を停止し、冷却されなくなったことによるウランの暴走。分厚いタンクの壁を、いとも容易く食い破り溶け出たソレは、大きな爆発を起こすとともに辺りにいたありとあらゆる生命体を飲み込み、その拍動を奪った。

瞬く間に世界は放射能によって包まれた。

今やすべてが機械によって操作できる時代。自動運転式の車や飛行機は、国会や警察署、大型商品店に"狙ったように"激突し、すぐさま、今まで保たれていた政府の秩序を崩した。

街中で鳴り響くサイレンの音を、あざ笑うかのように眩い光が広がる。

嗚呼、駄目だな。

Aはまさに野生動物のように本能的に悟った。
目の前に広がる立ち昇る炎柱、空へと吸い込まれていく人々の掠れた痛々しい悲鳴。

もし、この世の終わりが来るのなら、こんな感じなのだろう。

そんな地獄を具現化したような光景に、身動きすら取れずただ、崩れたコンクリートに背を任せ、ぼんやりとそれを眺めた。

段々足元に炎の手が迫ってきて、肌をじりじりと焦がす。肉が焼ける音を聞きながら降ってくる瓦礫の雨に、とうとう終わりを感じる。

目を閉じかけた時、空で何かが大きな光を放った。先程の光とは、比べ物にならないほどの。

まるで、太陽そのものが、今目の前に落ちてきている感覚だった。
驚いて見開いてしまった目にその光が入り込む。網膜が焼き切られ、その光が脳まで届いて焦がすような大きな衝撃が体を襲う。

痛みさえ感じさせないその光を眺めながら静かに身をゆだねた。

何処か、違和感を感じながら。

あの光は、まるで此方に向かってきているようだった。なんて。