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隆弘side
誕生日当日
レッスンを終えてから美優の好きな水族館へ
園内はイルミネェーションに彩られ淡い光の海
元気の無かった美優もこれには感動したらしく
て、笑顔が溢れていた。
魚たちを見てまわり
クラゲの優雅な動きに目をキラキラ輝かせてる美優はまるで子供みたい。
去年みたいに、たくさんの事は出来ないけど…それでも、美優が笑顔で居てくれる。
「隆クン、これ見て!」
そう言って見せられたパンフレットには大輪の花火の写真が載っていた。
勿論花火が大好きな美優は、すがる様な瞳で行きたがる。
けど。今日は一段と風が冷たくて、雪でも降りそうな気温。
ましてや海辺に近いこの場所はより冷たさを感じる。
………。
どうしよう。。。
「やっぱり駄目だよね…。」
哀しげに上目遣いで見詰める顔に駄目って言えなくなる…
俺、こう言う顔に弱いんだよな…。
「もぉ…。その顔ずりーよな!」
?顔の美優の手を取り外に出た。
吹き付ける海辺の風は寒いよりも痛くて、美優の帽子を目深に被せマフラーを鼻の所まで引き上げた。
既に始まってた花火は夜空に大輪の花を咲かせて、澄んだ空を綺麗に彩ってる。
「わぁーッ綺麗♪近くで上げてるのかな?大きいね!」
目もとしか見えて無い美優だけど、その笑顔が手に取る様に分かる位に大きな瞳をさらに大きく開いて見いってる。
少しでも寒く無いように…
後ろから包み込む。
「隆クン、ワガママばっかり言ってごめんね。」
「こんなん、ワガママに入んねぇよ。」
へへって小さく笑った美優。
お前の考えるワガママのレベル。
普通からしたら低すぎだろ…。
心配になって、過保護にするからなのかな…
けど、こんなん、ワガママって呼ぶ程のもんじゃねぇしな…。
そんな事考えてる間に花火は終わり見物客は散りじりに移動している。
少しでも早く美優を暖めたい俺は、その波にのりながら園内の喫茶店を目指して歩き出した…
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作者名:ayu | 作成日時:2017年10月27日 7時