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隆弘side
Aの話しを黙って聞いた。
泣くのは想像してたけど、少しの言い合いからここまで拗れるとは思って無かった
でもこうなったら、黙ってたってしょうがない。
言いたい事全部Aにぶつけた
案の定、泣き出した
席から立ち上がりAの隣に座り直した。
Aの頭を俺の胸の方へ引き寄せた。
「泣かないで」
「泣いてないもん」
Aの頬の涙を拭って問いかけた。
「これは?」
嗚咽を漏らし泣き出した
頭をポンポンしながら背中を擦った。
「A、俺に話して無い大切な話し。
そろそろ話してくれてもいいんじゃないか?
多分この話しを聴かないと先には進めない
俺はAを手離したくない」
「タカ…」
「ゆっくりでいいから」
深呼吸して、小さな声で話し出した
「タカ…ヒクッ……長くなるよ。スン ス」
「いいよ」
「家の親…離婚したの
父はずっと不倫してて、相手に同じ年の男の子が居るんだ…
父は男の子が欲しかったから、でも私は男の子じゃ無くて……
父に嫌われてた…
大好きだったのに…
父親は違った。
兄と比較されて…
女は嫌いだ
望みもしなかった…
甘ったれでワガママで迷惑
弱くて負担ばかり掛ける
愛情を持った事は1度も無いって
父親に捨てられた…私のせいでママも
男の子だったら、ママも辛い思いしなくて済んだのに…
私が弱く無かったら、泣き虫じゃ無かったら
甘えなければ、ワガママ言わなければ今とは違ったのに…
ママにもいつか捨てられる…
そう思うと恐かった。
甘え無い。ワガママ言わない。強くなろうって。
人の目を気にして顔色ばかり伺った。
言葉に出すのが苦手になって、人と関わるのが怖くなった。
誰も、本当の気持ちは見えないから…」
「A……
本当の気持ちは見えないけど、思いは伝わる。
言葉は思いを伝えるんだよ
Aのお父さんはAより、兄さんを選んだかも知れない
でもな、Aの周りには本当にAの事を大切に想って居る人達がたくさん居る。
だから、向き合う事から逃げないで…」
「隆クン…でも、でもね」
「ゆっくりでいい、一緒に変わって行こう。
本当のAを見せて
俺が側に居るから。離れようとするな」
「ん......うん。…」
少しずつ俺も変わるから、余裕で受け止められる男になるから
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作者名:ayu | 作成日時:2017年6月6日 12時