CODE.32_未来ごとぶった斬る ページ34
.
Aは一息つきながらズンと大きな体が地面に伏すのを見届ける。
流石に威力重視とはいえアステロイドだけではあの腕を壊すことはできなかったが、今のである程度部位の堅さと動きは覚えた。
ただ、近場のトリオン兵をあらかた方した後だからよかったものの、同時に向かってこられたら骨が折れただろう。
……これに苦戦せず倒せる人なんて千佳ちゃんくらいのトリオン爆弾でブチ抜くかあるいは脳筋攻撃手の太刀川さんくらいなんじゃ？
そんなことを考えながらまだ警戒区域から市街地へと向かってくるトリオン兵の群れに目をやる。
新型一匹倒して終わりではない。この波を市街地へ向かわせないようにしなければ。
できれば平和に終わりたいところだが___
『_____って、うわー嘘じゃん』
現実はそう上手くいかず、目に飛び込んできたのはまたラービットだった。それもさっきとは色が違う。でかい図体のわりに軽やかにその場に飛んできたのを見て流石のAも顔を引き攣らせる。
先程と同じように距離をはかりつつ、バイパーで動きを制御しそこから火力を集中させる。だが予想外にその新型は大きく空を飛び、めちゃくちゃな方向に砲撃をし始めた。
それを見てさっきのとは行動も能力も違うことを理解する。
Aは思わず舌打ちをして、空に向かいアイビスを構えた。
しかしその引き金を引こうとしたとき、彼女は視界の隅にまた別の色の新型を捉え急遽転換する。
すでに攻撃態勢に入っているそれに慌てて銃と逆手で弾トリガーを構えようとするも、彼女は瞬時に間に合わないと理解し考えを掻き消した。
どちらかを避ければどちらかにやられる。所謂チェックメイトの状況。
.
ベイルアウトという最後の手段が彼女の頭をよぎった。
『！』
しかしそれもまた、さらにその向こうに捉えた一つの影によって消え去ることになる。
.
「_________施空弧月」
よく知るその"間"だけを避けて。
スパリ、と一瞬のうちに2体のラービットを切り裂いた斬撃のその向こうにAは視線をよこした。
.
「よしよし、ちゃんと避けたな」
先程までの緊張感が無駄に感じるまでに楽観的な声色で言う男にAは感謝しつつため息混じりに口を開いた。
『今の避けなきゃ私まで斬るつもりだったでしょ………太刀川さん』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
26(ふむ)(プロフ) - 佐藤花子さん» こんにちは、初めまして。コメントありがとうございます。丁寧な感想とても嬉しく思います。これからもしばらくはちまちまとした更新になるかと思いますがどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年8月18日 17時) (
レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤花子(プロフ) - この作品で初めて貴方を知りました。単刀直入に言いますがとても素晴らしい作品です。言葉選びと丁寧な文章が一つ一つの言葉の魅力を引き出していて素敵です。これからも更新期待しております。ご自身のペースで更新していただければ幸いです。長文失礼しました (2021年8月17日 20時) (レス) id: 2f5d72a0f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：26(ふむ) | 作成日時：2021年5月21日 19時
