CODE.26_白日夢からのめざめ ページ28
▽
「反応多数！！ゲート誘導します！！既に隊員には通達済みです！！！」
「よし、各隊員指示通りに頼む！！」
けたたましく鳴り響くサイレンが聞こえてから、三門市内ではボーダー隊員たちがそれぞれ動き出していた。
第一次大規模侵攻から約4年半。先日から迅が予知していた通り、再び近界民による侵攻が始まった。
予定よりは幾分か早いその始まりの合図は、ボーダー隊員たちの気を引き締めると同時にあの4年半前の出来事を経験した市民たちの不安を掻き立てていた。
明智Aは基地の上から街を見下ろす。彼女自身にとっては初めての大規模侵攻である。だが彼女もまたあの4年半前に囚われている人間でもあった。
だが____
.
基地周辺__見下ろした街はその爪痕をいまだに残し、廃墟が立ち並んでいる。その上空には幾つもの黒い穴が開き、続々とトリオン兵が湧き出していた。
トリガー・起動。
そうして隊服に身を包んだ彼女の眼に既に迷いはない。手のひらに大きなキューブを割り出し思い返すのは数日前の迅との会話であった。
.
__…
「Aはとりあえず本部待機で、敵さんが攻めてきたら自由に動いてもらって構わない。多分周りから一掃してく感じになると思う」
『了解。…もし、人型と接触した場合は？』
「……おまえは何言っても聞かない未来しか見えないからなぁ。…ただ、無理だけはしないでくれ」
『___迅さんもね』
...
思い返して、困ったように眉を寄せた迅の顔が頭を掠めた。
うん、ともわかった、とも言わなかったAに彼が思うことなど誰にでもわかることだろう。
彼の予知の中に明智Aの死に係る分岐はない。それよりも修や千佳たちが今回の鍵であることを迅もAも知っている。
ただ、だからと言ってもちろん彼女が確実に安全というわけでもなかった。彼のサイドエフェクトも万能ではない。読み逃した事項によって最善、或いはそれに近い未来に確定する前に何処かでズレが生じる可能性だってある。
それでも迅が何も言わないのはそれは言うだけ無駄という事も知っているからであった。
『____さぁ、やろうか』
彼女は戦わねばならなかった。自分が決めた道を進まなくてはならない。初めこそ引き寄せられるように落ちていったこの光の中で、自ら選び取った使命を持って護るのだ。
ボーダー隊員としてこの街も、大切なものも。
.
今度こそ、この手で掴み取って離さないように。
.
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26(ふむ)(プロフ) - 佐藤花子さん» こんにちは、初めまして。コメントありがとうございます。丁寧な感想とても嬉しく思います。これからもしばらくはちまちまとした更新になるかと思いますがどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年8月18日 17時) (
レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤花子(プロフ) - この作品で初めて貴方を知りました。単刀直入に言いますがとても素晴らしい作品です。言葉選びと丁寧な文章が一つ一つの言葉の魅力を引き出していて素敵です。これからも更新期待しております。ご自身のペースで更新していただければ幸いです。長文失礼しました (2021年8月17日 20時) (レス) id: 2f5d72a0f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：26(ふむ) | 作成日時：2021年5月21日 19時
