CODE.18_積み上げられた方程式 ページ20
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そもそも、烏丸の明智Aとの出会いはそう劇的なものではない。
存在こそ認知はしていたが入隊もバラバラでAが狙撃手であるため訓練などで顔を合わせる機会もなく、初めて会話をしたのはそれぞれが隊に所属してからしばらく経った頃であった。
「……明智、だよな」
『あっ、ハイっ、どうも…烏丸くん』
「……、」
初めての会話はそれ。場所は本部の人通りの少ない自販機スペースで、すぐ側のベンチに腰掛ける彼女にたまたま会って烏丸から声をかけたのが始まり。
烏丸の声にわずかに肩を跳ねさせて、合った視線を逸らした彼女に彼が抱いた印象は野良猫であった。
この頃の彼女は和戸村たちに振り回されたお陰で以前よりも交流が広がり、チーム戦でもその狙撃の腕を魅せつけボーダー内でもかなり噂になっていた。
そんな彼女が1人でいるのは珍しく、大体チームでいるか誰かしらかに話しかけられていたのをここ最近ずっと見かけていた烏丸は、興味本位でそんな彼女との会話を広げていったのである。
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「いつもコーヒー牛乳飲んでるな」
『…ここの自販機だけ何故か置いてあるから』
そうして何度か話して気づいたが、どうも彼女は定期的にここに来ては一人でぼーっとすることが好きらしかった。
一度は去ろうとも思ったが、烏丸と話すのは楽しいし大丈夫と彼女に控えめに止められてからはすっかりここで話すのが習慣になっていったのだった。
烏丸にとっても彼女と話すこの時間は家族との団欒の如く居心地が良かったし、普段とは少し違った表情の彼女を見られるのは役得であった。
だから初めは新しい妹ができた気分でもあったが、明智Aという人物を知っていくたび烏丸の中で彼女の存在は存外大きくなっていったのである。
烏丸は長らくそれを家族愛みたいなものだと思っていたが、彼女がボーダーに完全に慣れてきた頃ようやく恋とニアリーイコールで結びつけたのだった。
だが烏丸本人にはそれを伝えるつもりもなく、彼女が楽しそうにしていればそれでいいと思っていたため、これまで周りに指摘されることもなかったのである。
それは現在これからも同じのはずであったのだが、目の前の彼女を見て烏丸はどうもそうではなさそうだと考えを改めることになるのであった。
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CODE.19_定位置:床→←CODE.17_遅効性のアンサー
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26(ふむ)(プロフ) - 佐藤花子さん» こんにちは、初めまして。コメントありがとうございます。丁寧な感想とても嬉しく思います。これからもしばらくはちまちまとした更新になるかと思いますがどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年8月18日 17時) (
レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤花子(プロフ) - この作品で初めて貴方を知りました。単刀直入に言いますがとても素晴らしい作品です。言葉選びと丁寧な文章が一つ一つの言葉の魅力を引き出していて素敵です。これからも更新期待しております。ご自身のペースで更新していただければ幸いです。長文失礼しました (2021年8月17日 20時) (レス) id: 2f5d72a0f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：26(ふむ) | 作成日時：2021年5月21日 19時
