CODE.10_交渉決裂 ページ12
▽
『迅さん、ポイント到着しました』
「オーケー、もう時期
『了解』
明智Aは元来俗に言う無派閥の人間であった。
曰く『恨みも何も実感ないしかといってネイバーのことは何も知らないしそういうのを考えられる立場でもないし』とこれ以上は割愛するが当時の彼女はそう話していた。
そんな中彼女が所属した部隊は所謂忍田派であり、即ち直属の上司は忍田真史であった。それは隊を解散した後も変わらず、現在に至っては彼女は市民の安全を守るという使命を持ち忍田の下で仕事をこなしている。
前置きが長くなったが、つまり今明智Aは忍田の命により嵐山隊と共に遠征チームとの対峙に駆り出されていたのである。
「迅……！」
「なるほどそう来るか」
程なくして、迅の前には帰還した遠征部隊に加え三輪隊2人が姿を現していた。
先頭を切っていた男__太刀川慶は迅を見て薄い笑みを浮かべる。
「太刀川さん久しぶり。みんなお揃いでどちらまで？」
彼らが何をしにここに来ているのか、迅は分かりきっているにも関わらずいつも通りの落ち着いた声色でそう尋ねる。
まさに側から見れば一触即発。そんな空気の中で他愛無い話をするような口調で会話が進んでゆく。
「"模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる"隊務規定違反で厳罰を受ける覚悟はあるんだろうな？迅」
そこに声色を落として緊張感を走らせたのは風間隊隊長の風間蒼也であった。
その言葉に対し迅も反論するが、珍しく論理的に太刀川がそれを沈める。
本部、とりわけ城戸司令はどんな手を使ってもブラックトリガーを回収する理由がある。しかし譲れない理由があるのは迅も同じであった。
「持ち主本人にしてみれば命より大事なもの」その言葉通りなのだ。
「俺たちの部隊を相手におまえ一人で勝てるつもりか？」
風間の問いかけに迅が答える。
__いいところ五分、
ポイントから膠着状態の現場を静かに見つめていたAはやっぱこうなるよなーと息を吐いた。
「嵐山隊現着した、忍田本部長の命により玉狛支部に加勢する！」
そしてついに役者が揃う。けれどそれで退くほど単純な相手ではないのをその場の全員が理解していた。
「おもしろい___おまえの予知を覆したくなった」
そうして、太刀川の言葉によってこの戦いの火蓋は切られることとなった。
.
CODE.11_三歩下がって二歩攻める→←CODE.9_経験値とミスマッチ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
26(ふむ)(プロフ) - 佐藤花子さん» こんにちは、初めまして。コメントありがとうございます。丁寧な感想とても嬉しく思います。これからもしばらくはちまちまとした更新になるかと思いますがどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年8月18日 17時) (
レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤花子(プロフ) - この作品で初めて貴方を知りました。単刀直入に言いますがとても素晴らしい作品です。言葉選びと丁寧な文章が一つ一つの言葉の魅力を引き出していて素敵です。これからも更新期待しております。ご自身のペースで更新していただければ幸いです。長文失礼しました (2021年8月17日 20時) (レス) id: 2f5d72a0f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：26(ふむ) | 作成日時：2021年5月21日 19時
